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視神経脊髄炎と 抗アクアポリン4抗体

No.4728 (2014年12月06日発行) P.58

越智一秀 (広島大学脳神経内科診療講師)

松本昌泰 (広島大学脳神経内科教授)

登録日: 2014-12-06

最終更新日: 2016-10-26

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視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)とは,視神経と脊髄に好発する自己免疫性炎症を主体とする疾患であり,1894年にDevicが最初の症例を報告したことからDevic病と言われてきた。同じ炎症性脱髄を生じる多発性硬化症(mul-tiple sclerosis:MS)でも,特にわが国においては視神経ならびに脊髄は病変の好発部位であり,視神経脊髄型多発性硬化症(opticospinal MS: OSMS)としてNMOとの異同が議論されていた。
2004年にNMO患者の血清から発見されたNMO-IgGと呼ばれる自己反応性抗体の標的抗原が,2005年にはアクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)であることが確認された。このことをきっかけに病態の解明が進み,抗AQP4抗体はNMOにおいては高頻度に検出され,鑑別診断においてかなり重要な要素であることが判明した。さらに,OSMSと診断されていた患者の半数以上で抗AQP4抗体が陽性であり,実際にはNMOであったことや,MSと抗AQP4抗体陽性NMOは治療反応性が異なることなどが明らかとなった。
このことを受けて,NMOの診断基準(文献1)には抗AQP4抗体の測定が取り入れられ,『多発性硬化症治療ガイドライン』(文献2)においても,NMOを除外する目的で測定することが推奨されるようになった。

【文献】


1) Wingerchuk DM, et al:Neurology. 2006;66(10): 1485-9.
2) 「多発性硬化症治療ガイドライン」作成委員会, 編:多発性硬化症治療ガイドライン2010. 医学書院,2010.

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