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髄芽腫の分子生物学的解析による新たな展開

No.4725 (2014年11月15日発行) P.50

若林俊彦 (名古屋大学脳神経外科教授)

登録日: 2014-11-15

最終更新日: 2021-01-06

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小児脳腫瘍は,全小児がんの中で白血病に次ぐ第2位の発生頻度(20%)で,固形がんの中では最大である。特に,小児の小脳虫部に好発する髄芽腫は,外科的に全摘出してもほとんどが再発し,術後の放射線療法や化学療法が必須となる。
髄芽腫の病理診断亜分類では,classic medulloblastoma, medulloblastoma with extensive nodularity(MBEN), desmoplastic/nodular medulloblastoma, large cell/anaplastic medulloblastoma(LCAM)にわけられ,どれもgradeⅣに属する(文献1)。近年,ゲノム解析に基づいた4つの亜分類(WNT, SHH, Group 3, Group 4)が提唱され,予後との相関など新たな層別化分類として注目されている(文献2)。
現在推奨される放射線治療は,1日1回1.8Gyを週5回の実施とし,全脳・全脊髄照射線量を36Gy,ついで後頭蓋窩局所照射を19.8Gyとするものである。その後,イホスファミド/CDDP/エトポシドの3剤を組み合わせたICE療法が常用されている。一方,3歳未満の髄芽腫症例では,未分化な神経系に対する放射線治療の有害事象を回避する目的で,3歳以降になるまで放射線照射を延期するように計画する。特に播種病変がなく,かつ主病変の肉眼的全摘術が達成された場合, 病理所見がdesmoplastic/nodular typeあるいはmedulloblastoma with extensive nodularityの場合は,化学療法単独で放射線治療を3歳以降にまで延期または放射線治療自体を回避できる可能性があり,その場合の5年無病生存率は30~70%に達する。

【文献】


1) Allen J, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2009; 74(4):1006-11.
2) Northcott PA, et al:Nature. 2012;488(7409): 49-56.

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