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遺伝子診断の進歩に伴う脳腫瘍治療の変化と今後の展望について

登録日: 2024.03.07 最終更新日: 2026.02.21

野田公寿茂 (札幌禎心会病院脳神経外科部長) 山口 秀 (北海道大学大学院医学研究院脳神経外科診療准教授(講師))

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近年のゲノム解析技術の進歩に伴い,脳腫瘍の診断治療も大きく変化しています。遺伝子診断の進歩に伴う脳腫瘍治療の変化,および今後の展望について教えて下さい。
日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology:JCOG)脳腫瘍グループ代表委員でもある北海道大学・山口 秀先生に,ご解説をお願いします。

【質問者】野田公寿茂 札幌禎心会病院脳神経外科部長


【回答】

【がん遺伝子パネル検査を用いた個別化医療に期待する】

脳腫瘍において,遺伝子解析の進歩はまず診断に大きな変化をもたらしました。従来,脳腫瘍の診断は病変の発生部位を基本として,その病理形態学的な特徴から診断が行われていました。遺伝子解析が進み分子生物学的な情報がもたらされることで,診断分類に変化が生じました。

たとえば,最も代表的な悪性脳腫瘍である膠芽腫において,一部にイソクエン酸脱水素酵素(IDH)遺伝子変異が同定され,この変異を持つ膠芽腫は,変異を持たない(野生型の)膠芽腫と比べて予後が良いことがわかりました。このIDH遺伝子変異は,低悪性度神経膠腫においてはさらに高い頻度で認められることが判明し,低悪性度神経膠腫においてもIDH変異の有無で予後が大きく異なることが明らかになりました。

その結果,最新の「WHO脳腫瘍分類 第5版(WHO CNS5)」においては,IDH変異の有無で成人神経膠腫が大別され,IDH変異のない(野生型の)神経膠腫は,病理学的(形態学的)に低悪性度であっても,膠芽腫に分類されることになりました。従来はグレード2として良性腫瘍のように扱われていた腫瘍が,グレード4の診断に変更される症例が出てきたということになります。この診断変更は治療に大きく影響することになり,従来よりも適切な治療強度が選択されることにつながることが期待されています。


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