てんかんの侵襲的モニタリング手法として,従来,硬膜下電極が主流でしたが,令和2年より定位的頭蓋内脳波(ステレオ脳波,stereotactic electroencephalography:SEEG)が保険収載され,国内でも導入する施設が増えてきています。硬膜下電極とSEEGの使い分けやそれぞれの手法の利点,欠点につき,ご教示下さい。
京都大学・菊池隆幸先生にご解説をお願いします。
【質問者】江夏 怜 札幌医科大学脳神経外科講師
【深部や両側てんかん原性領域の検索にはSEEG,機能マッピングが必要であれば硬膜下電極を第一に考える】
難治性てんかん患者に対する侵襲的モニタリングでは,根治的手術を行うにあたり非侵襲検査に加えてさらに詳細な情報が必要なことがあります。その場合,患者に対し,頭蓋内に電極を埋め込んだ状態で数週間にわたりてんかん原性領域の検索や脳機能マッピングを行います。てんかん原性領域とは,切除により発作根治が得られる領域です。近年では,ネットワークとしててんかん原性をとらえる傾向もみられます。
侵襲的モニタリングで使用する電極には,以下の2種類があります。
①硬膜下電極:4~20個のコンタクトが平面的に配列されたシート状の電極で,開頭術で硬膜下腔に電極を埋め込んで使用します。
②SEEG:コンタクトが直線上に配列された約1mm径の棒状の電極(深部電極)であり,定位脳手術装置やロボットを用い,ツイストドリルで頭蓋骨に2.5mm径ほどの小さな穴を開けて刺入します。10~15本の電極を留置する必要があります。
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