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ステージ5のCKD患者に RA系阻害薬を使うべきか

No.4725 (2014年11月15日発行) P.49

横尾 隆 (東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授)

登録日: 2014-11-15

最終更新日: 2016-10-26

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CKD患者へのRA系阻害は腎機能保持の観点から,日本腎臓学会のガイドライン2013で推奨されており,早期CKD患者ではRA系阻害薬を服用していることが多い。一方,腎臓内科初診時に既に進行した保存期腎不全症例では,急峻なRA系の変動がかえって濾過圧低下によるクレアチニン上昇や高カリウム血症を招くため,使用できない場合が頻繁にみられる。しかし,既にRA系阻害薬を使用していて徐々に腎機能が低下し透析導入が近くなった症例では,RA系阻害薬を中止してカルシウム拮抗薬などに移行すべきなのか,透析導入まで使用を継続すべきなのかのエビデンスは乏しい。このことはガイドライン2013でも触れられていないが,実際CKDステージ5に進行した症例でRA系遮断を中止すると,一時的にクレアチニンとカリウムの低下が生じることが多いため,他剤に変更する専門医も多い。
その中で2014年,透析をしていないステージ5のCKD患者においてもRA系の強固な遮断は透析導入率を有意に下げるという,約2万8000人規模のメタ解析の結果が報告された。つまり,腎機能低下が進行しても,そのままRA系阻害薬を継続するべきであるというデータである(文献1)。RA系阻害の継続により腎予後がどの程度延長されるかについてはまだ検証を待たなければならないが,目先のデータの改善を目的に,画一的にRA系阻害を突然中断することは避けたほうがよいであろう。

【文献】


1) Hsu TW, et al:JAMA Intern Med. 2014;174(3): 347-54.

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