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JSH 2014の変更点:家庭血圧計を 用いた夜間高血圧の診断と意義

No.4720 (2014年10月11日発行) P.51

苅尾七臣 (自治医科大学循環器内科学教授)

登録日: 2014-10-11

最終更新日: 2016-10-26

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JSH 2014では,夜間血圧の高血圧診断閾値を120/70mmHgと明示し,夜間高血圧にも焦点を当てている(文献1)。夜間睡眠中は交感神経が低下し,副交感神経が優位な時間帯で,外的刺激を受けにくい。つまり,夜間は最も血圧変動が少なく,安定した血圧評価が可能な時間帯である。したがって,夜間高血圧は,大血管スティフネスや小血管リモデリングの増大,さらに循環血液量の増大など構造的な心血管・腎臓障害が進行していることを示す。実際にこれまでの臨床研究でも,夜間高血圧は昼間の血圧とは独立した臓器障害や心血管イベントのリスクとなることが報告されている。
これまで,夜間血圧は24時間自由行動下血圧測定(ABPM)でしか測定できなかったが,近年では家庭血圧計を用いて夜間血圧を自己測定できる血圧管理システムが構築されている。筆者らが家庭血圧計でAM2:00,AM3:00,AM4:00の3回測定した夜間血圧(3回平均)は,臓器障害(尿中アルブミン量や心エコーで評価した左室肥大)との関連において,ABPMによる夜間血圧(夜間30分間隔)にまさるとも劣らない(文献2)。
今後,夜間高血圧の頻度が高い糖尿病,慢性腎臓病,睡眠時無呼吸症候群などに加え,心血管イベントの既往や臓器障害が進展したハイリスク群では,早朝と就寝時の標準的測定に加えて,家庭血圧計による夜間血圧測定も適宜行い,夜間高血圧管理に活かしてほしい(文献3)。

【文献】


1) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会, 編:高血圧治療ガイドライン2014. 日本高血圧学会, 2014.
2) Ishikawa J, et al:Hypertension. 2012;60(4):921-8.
3) Kario K:Hypertens Res. 2013;36(6):478-84.

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