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IgG4関連腎臓病

No.4716 (2014年09月13日発行) P.49

廣村桂樹 (群馬大学生体統御内科准教授)

登録日: 2014-09-13

最終更新日: 2016-10-26

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血清IgG4高値と著明なIgG4陽性形質細胞の組織浸潤や腫瘤形成を特徴とする,IgG4関連疾患という新たな疾患概念が最近登場した。硬化性胆管炎,自己免疫性膵炎,Mikulicz病,後腹膜線維症,尿細管間質性腎炎,間質性肺炎などでこのような病態を生じることが,近年わが国を中心に報告されてきた。これらの病変は,複数が同時あるいは経時的に出現することより1つの疾患単位を形成するものと考えられ,IgG4関連疾患と呼ぶこととなった。2011年にIgG4関連疾患の研究班により,その包括診断基準が作成された(文献1)。
腎臓については,著明なリンパ球とIgG4優位の形質細胞の浸潤による尿細管間質性腎炎を呈し,浸潤細胞を取り囲む特徴的な線維化がみられる。また尿細管間質性腎炎のほかに,膜性腎症などの糸球体障害や,腎盂・尿管の肥厚および腫瘤など多彩な病変が生じることがわかり,IgG4関連疾患の腎病変をIgG4関連腎臓病と呼ぶこととなった。そして国内の41症例を解析し,世界に先駆けてIgG4関連腎臓病の診療指針が作成された(文献2)。
IgG4関連腎臓病は放置すると腎不全をきたすが,ステロイド反応性が良く,予後は比較的良好と考えられている。しかし,まだ研究が始まったばかりであり,今後症例を集積しながら病態機序の解明,疾患頻度・臨床像・予後などの疫学的検討,診断基準の検証,治療法の確立などが待たれる。

【文献】


1)Umehara H, et al:Modern Rheumatol. 2011;22 (1):21-30.
2)川野充弘, 他:日腎会誌. 2011;53(8):1062-73.

【参考】

▼斉藤喬雄, 他 編:IgG4関連腎臓病のすべて. 南江堂, 2014.

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