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DSM-5項目解説(1)

No.4715 (2014年09月06日発行) P.59

武田雅俊 (大阪大学精神医学教授)

登録日: 2014-09-06

最終更新日: 2016-10-26

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1 神経発達症群/神経発達障害群(neurodevelopmental disorders)
知的能力障害群(intellectual disabilities)/コミュニケーション症群(communication disorders)/自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)/注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)/限局性学習症(specific learning disorder)/運動症群(motor disorders)/チック症群(tic disorders)

DSM-Ⅳの通常,幼児期,小児期に初めて診断される障害に含まれていた注意欠如および破壊的行動障害のうち,注意欠如・多動性障害は神経発達症群に,破壊的行動障害はDSM-Ⅳの他のどこにも分類されない衝動制御の障害と統合され秩序破壊的・衝動制御・素行症群に分類された。神経発達症群は,主として幼児・小児にみられる障害であるが,スティグマや偏見を減らすために,disorderを「症」とすることになった。
知的能力障害はこれまでの精神発達遅滞であり,概念,社会,実生活の3領域を軽度,中等度,重度,最重度の4段階で評価する。ASDには,DSM-Ⅳの自閉症,アスペルガー症候群,特定されない他の広汎性発達障害(PDD-NOS)が含まれる。社会的コミュニケーション能力の障害が前面に出ているものはコミュニケーション症群に含めることになり,ASDの程度は必要な支援の程度によりレベル1(軽症)~3(重症)に区分される。ADHDは不注意と多動・衝動性とが12歳以前に出現しているものをいうが,大きな影響を及ぼしうる点は,これまで排除されていたASDとADHDとの共存を認める点で,発達障害があってもADHDの診断が可能となった。

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