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悪性黒色腫治療のパラダイムシフト

No.4712 (2014年08月16日発行) P.56

片山一朗 (大阪大学皮膚科教授)

登録日: 2014-08-16

最終更新日: 2016-10-26

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悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚癌の中で最も悪性度が高く,また様々な治療に抵抗性を示す腫瘍である。現在,国内で行われている主な治療法の治療アルゴリズムには以下のものがある(文献1)。
・早期では外科的切除。
・センチネルリンパ節生検〔RI/(蛍光)色素・保険適用あり〕:上肢・下肢・体幹ではほぼエビデンスを確立。顔面では確立しつつある。
・リンパ節転移症例に対するリンパ節群郭清:エビデンスを確立しつつある。
・進行期メラノーマ治療:化学療法〔ダカルバジン(DTIC)に加え,パクリタキセル(PTX)・カルボプラチン(CBDCA)の登場〕,IMRT(強度変調放射線治療),重粒子線。
しかし,多くの進行例で化学療法の耐性が出現し,予後はきわめて不良である。このようなメラノーマ治療の最新のトレンドとして新たな分子標的治療薬BRAF(V600E, V600K)阻害薬(vemurafenib,dabrafenib),MEK阻害薬(trametinib,cobimetinib)などがあり,BRAF変異症例に効果があるとされている。また,制御性T細胞の機能抑制などを目的とした抗CTLA-4抗体(ipilimumab),抗腫瘍T細胞の機能障害を正常化させる抗PD-1抗体(nivolumab,lambrolizumab)などが,今後わが国でも使用可能となる(文献2)。
これらの新規治療薬の登場で,メラノーマの治療は大きく変貌することが予測される。

【文献】


1)斎田俊明, 他:日皮会誌. 2007;117(12):1855-925.
2)高橋俊二:癌と化療. 2013;40(1):19-25.

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