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テモゾロミド出現後の神経膠腫の化学療法の動向

No.4707 (2014年07月12日発行) P.54

若林俊彦 (名古屋大学脳神経外科教授)

登録日: 2014-07-12

最終更新日: 2021-01-06

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悪性神経膠腫の化学療法は,テモゾロミド(TMZ)の出現で新たな進展がみられはじめた。初発膠芽腫に対するTMZの放射線治療との上乗せ効果で,約2カ月間の無増悪生存期間の延長と2年生存率の有意な改善を認めるに至った(文献1)。
現在,このStuppレジメンの再発例に対し,各種治療レジメンが検討されている。TMZに対する主たる耐性因子がMGMTというDNA修復酵素であり,MGMTはTMZによるDNA傷害を修復する過程で失活するため,TMZ総投与量を増量することでMGMTを失活させ,TMZ自身の感受性を増強させる効果が期待されている。また,TMZ不応例に対しては基礎実験レベルで,インターフェロンベータ(IFN-β)の先行投与によりMGMTの転写が抑制され,TMZの抗腫瘍効果が増強される(文献2)。
INTEGRA study(Interferon-β and Temozolomide for Glioma in Combination with Radiotherapy)と命名された本臨床研究の検討は,2006年12月に安全性試験(phase 1/2a study)を開始した。その結果,第1相試験の安全性が確認されたことから(文献3),JCOG脳腫瘍グループ参加27施設の協力のもと,初発膠芽腫を対象に同一プロトコールでTMZとIFN-βを併用した放射線化学療法の有効性と安全性を検証することを目的として,TMZ+放射線治療とのランダム化第2相臨床試験を2010年4月から開始した。
122例の症例登録は終了し,2年間の観察期間の末,間もなくその結果が報告される。

【文献】


1) Stupp R, et al:Lancet Oncol. 2009;10(5):459-66.
2) Natsume A, et al:Cancer Res. 2005;65(17):7573-9.
3) Wakabayashi T, et al:J Neurooncol. 2011;104(2): 573-7.

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