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慢性便秘の治療

No.4699 (2014年05月17日発行) P.56

木下芳一 (島根大学第二内科教授)

登録日: 2014-05-17

最終更新日: 2016-10-26

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便秘の原因は様々で,進行大腸癌などの器質的疾患に伴う器質性便秘,甲状腺機能低下症など他疾患に伴う症候性便秘,抗うつ薬などの薬剤投与に伴う薬剤性便秘があるが,これらが否定された後に残るのが機能性便秘である。機能性便秘の治療には膨張性下剤,浸透圧性下剤,分泌性下剤,刺激性下剤が用いられている。
医師の処方箋を必要としないOTC薬の下剤には様々なものがあるが,その多くは刺激性下剤を含有している。刺激性下剤は主に大腸粘膜を刺激して収縮を強めるため腹痛の発症頻度が高く,センノシドでは10%程度に腹痛の副作用がある。また連用すると効果の減弱が起こりやすく,低K血症などの副作用も出現しやすいと言われている。ところが排便誘発効果が高いためか,OTC薬としても一般診療においても,刺激性下剤の使用頻度は高かった。
最近,刺激性下剤に匹敵する効果を持ちながら腹痛の副作用が少なく,連用しても効果の減弱や電解質異常が起こりにくい新しい分泌性下剤が開発され,これに伴い便秘の治療法も変わりつつある。便秘の治療は,第1段階では,食事や生活指導とともにポリカルボフィルカルシウムなどの膨張性下剤で治療を行う。第1段階で治療効果が不十分の場合,第2段階の治療として,浸透圧性下剤である酸化マグネシウムや分泌性下剤であるルビプロストンを用いる。これでも効果不十分の場合,第3段階として刺激性下剤を用いる,という3段階の治療が推奨されている。新しい分泌性下剤の開発とともに便秘治療も変わりつつある(文献1)。

【文献】


1) 木下芳一:消化器の臨床. 2013;16(5):535-43.

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