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人工内耳・骨導補聴器

No.4695 (2014年04月19日発行) P.59

柿木章伸 (東京大学耳鼻咽喉科講師)

山岨達也 (東京大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2014-04-19

最終更新日: 2016-10-26

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人工内耳は高度難聴に対し,蝸牛内に挿入した電極により聴神経(らせん神経節細胞)を直接電気刺激することにより音感を得る。わが国では1985年治療開始,1994年保険適用となっている。手術の適応基準は,1998年4月に日本耳鼻咽喉科学会が示しており,成人(18歳以上)は両側とも90dB以上の高度難聴で,小児(2~18歳未満)は両側とも100dB以上の高度難聴であった。2006年に小児例の適応基準が見直され,1歳6カ月以上,両側とも90dB以上の高度難聴となり,さらに2014年2月に年齢が原則1歳以上(体重8kg以上)に引き下げられた。また,小児に対する補聴の基本は両耳聴であるため,人工内耳両耳装用が有用な場合にはこれを否定しないとの文言も追加された。
最近のトピックスとしては,高音急墜型感音難聴症例に対するハイブリッド型(従来の電気刺激機能に加え,音響刺激機能も兼ね備えた)人工内耳があり,高音域には電気刺激,低音域には音響刺激を行い,雑音下でも優れた聞こえが得られるようになった(2013年9月20日薬事承認取得)。
骨固定型補聴器(bone-anchored hearing aid;BAHA)は,振動を骨に直接伝えるインプラントを骨に固定して使用する骨導補聴器である。中耳・外耳疾患があり気導補聴器装用困難な症例が対象で,両耳難聴,18歳以上(両側性外耳道閉鎖症の場合は,親の同意があれば15歳以上でも可),少なくとも一側の骨導聴力レベルが45dB以内が適応である(2013年1月1日保険適用)。
海外ではこのほかにも新しい人工聴覚器の臨床応用が開始されており,これらを早く日本でも取り入れることが今後の課題と言える。

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