来年度予算概算要求で、厚生労働省が導入促進に76億円を盛り込んだ医療救急用ヘリコプター、通称「ドクターヘリ」。出動回数は右肩上がりで、今後も基地病院は増加する見通しだ。医師にとって身近になりつつある先進国必須の医療インフラ、ドクターヘリについてまとめてみた。
日本にドクターヘリが導入されるきっかけとなったのは1995年の阪神淡路大震災。ヘリコプターがほとんど活用されなかった反省から導入の機運が高まり、1999年には厚生省の試行的事業として、神奈川県の東海大と岡山県の川崎医大の高度救命救急センターでドクターヘリの運航が始まった。
東海大の中川儀英准教授(高度救命救急センター次長)によれば、1年半の試行的事業で同大が搬送した485人のうち55人を救命、予後の改善にも効果が認められたという。こうした成果を受け、2001年から国の事業としてスタート。07年にはいわゆる「ドクターヘリ法」が成立し、全国配備が加速した。今年8月時点で38道府県、46基地病院に配備され、1機当たりの年間経費約2億1000億円は国と自治体が折半している。現段階で、東京都は配備していない。
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