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医師・薬剤師による医療用麻薬の取り扱い

No.4751 (2015年05月16日発行) P.64

山本弘史 (長崎大学病院教授/臨床研究センター長)

登録日: 2015-05-16

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

医療現場で医療用麻薬を取り扱うには,施用者免許か管理者免許が必要です。医師が複数いる場合は各人が施用者免許を申請すればよいのですが,施設に複数の薬剤師がいる場合,管理者免許しか申請できず,また通常,管理者は施設に1名とされています。この場合,免許を持っていないほかの薬剤師が麻薬を取り扱う場合の根拠をご教示下さい。 (北海道 H)

【A】

医療用麻薬については,その適正な使用を確保し,犯罪組織あるいは麻薬中毒者の手に麻薬が不正に流出することを阻止するために,法律(麻薬及び向精神薬取締法)に基づく厳格な管理義務が医療関係者に課せられています。
法令上,麻薬施用者,麻薬管理者,麻薬診療施設の開設者の3者に対してそれぞれ異なる義務が課せられています。このうち,麻薬施用者および麻薬管理者は,都道府県知事から免許を受けなければなりませんが,麻薬診療施設の開設者の責務は,免許を受けることなしに当該診療施設に麻薬施用者免許を受けた者が勤務していれば自動的に発生するものです。
麻薬診療施設の中で,法令に従った適正な管理のもとに,当該医療機関に勤務する医療従事者(麻薬施用者ではない医師,麻薬管理者ではない薬剤師,看護師等を含む)が業務として,麻薬診療施設の開設者の所有にかかる麻薬を取り扱うことは,法令が想定しているところです。この場合の「適正な管理」とは,施用・交付する麻薬は,麻薬管理者(麻薬管理者のいない施設にあっては麻薬施用者)が法令の規定に従って,厳格に管理(受払,帳簿への記録,保管,廃棄など)することを指します。また,麻薬については,必ず麻薬施用者の発行した処方箋に基づき患者に使用もしくは交付(法令上は「譲渡」)されなくてはなりません。
なお,法律では麻薬を施用する行為は麻薬施用者のみに,また,交付する行為は麻薬診療施設の開設者または麻薬小売業者(麻薬取り扱いの免許を持った薬局の開設者)のみに制限され,そのほかの場合は患者に譲渡することがすべて禁止されています。

【参考】

▼ 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年3月17日法律第14号).
▼ 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課:医療用麻薬適正使用ガイダンス. [http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/2012iryo_tekisei_guide.pdf]

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