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妊婦・授乳婦の頭痛に対する診断・治療のポイント

No.4762 (2015年08月01日発行) P.64

渡邉由佳 (獨協医科大学神経内科准教授 獨協医科大学日光医療センター神経内科科長)

登録日: 2015-08-01

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

女性の片頭痛患者数は男性の約3倍であることはよく知られていますが,下記について,獨協医科大学・渡邉由佳先生のご教示をお願いします。
(1)妊娠や出産・授乳期を中心とした時期の女性の頭痛にはどのようなものがあり,どのようなことに注意して診断すべきでしょうか。
(2)妊婦や授乳婦の頭痛薬使用の可否について。また,授乳の際の留意点を。
(3)妊婦や授乳婦の頭痛に対する薬物治療と非薬物治療の方法,指導法の実際を,留意点とともに。
【質問者】
伊藤泰広:トヨタ記念病院神経内科部長

【A】

1)妊娠・出産・授乳期の頭痛
妊娠や出産・授乳期を中心とした時期の女性の頭痛には,二次性頭痛と一次性頭痛があります。
二次性頭痛の代表として,脳静脈血栓症や妊娠高血圧症候群,脳内出血,子癇が挙げられます。いずれも診断,治療に緊急を要する疾患であり,妊娠や出産・授乳期に,今まで経験したことがない頭痛や突然の頭痛,神経徴候を伴う頭痛が出現した際には,二次性疾患を念頭に置いて適切な画像検査や治療を行う必要があります。
一次性頭痛で代表的な片頭痛は,妊娠中は,第1三半期で約60%,第2,第3三半期で約80%以上が,改善もしくは消失しており,安定します。しかし,出産後1カ月で約半数に片頭痛が再び出現すると言われています。
(2)妊娠・授乳中の頭痛薬使用
妊娠や出産・授乳期は,催奇形性や,児への薬剤移行の可能性を考え,できるだけ非薬物療法を選択することが望ましいのですが,発作が重度で治療が必要な場合には,薬物療法を行います。
発作が重度で治療が必要な場合には,急性期治療薬はアセトアミノフェンが勧められます。妊娠期間中のトリプタン使用の安全性は確立されていませんが,妊娠初期の使用での胎児奇形発生率の増加は報告されていません。多くの片頭痛患者では妊娠中に片頭痛発作の回数が減少するため,予防薬が必要となる患者さんは稀です。授乳婦がトリプタンを使用した場合には,スマトリプタンは使用後12時間,そのほかのトリプタンは24時間経過した後に授乳することが望ましいとされています。
(3)薬物療法と非薬物療法のポイント
非薬物療法としては,リラクゼーション,バイオフィードバック,鍼治療,アロマテラピーがあります。
妊娠中の生活は,できるだけストレスをためないようにし,寝不足,寝過ぎや空腹,まぶしい光や騒音を避け,刺激を受けないようにします。洋服は,発作を誘発するきつい服にせず,ゆったりくつろげる服を選びます。ストレス発散方法を見つけ,いつでも相談できる人を探しておくように助言します。片頭痛発作時は,明るすぎない場所で安静にし,こめかみを冷やします。家族には家事や育児を手伝ってもらうようにします。
薬物療法を選択する場合,必要最少量が基本です。妊娠や出産・授乳期であっても,絶対に薬を飲んではならないわけではないことを患者さんに説明し,頭痛時の対処法について適切な助言を行い,頭痛時の不安を取り除くことが最も大切と考えます。

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