片頭痛は典型的には4〜72時間持続する片側,拍動性の頭痛であり,光・音過敏や悪心・嘔吐などの随伴症状を伴う。一次性頭痛の中では日常診療において高頻度に遭遇する神経疾患である。全世界の1年有病率は約15%であり,20〜40歳代に多くみられる。女性の有病率は男性の2〜3倍である1)。
片側,拍動性の頭痛でなくとも,①歩行や階段昇降などの体動により頭痛が悪化する,また②悪心・嘔吐に加えて光・音過敏があれば,片頭痛としても矛盾はない。光・音過敏を反映し,片頭痛患者は頭痛発作時には暗く静かな場所での安静を好むことが多い。発作時に落ちつきのなさ(restlessness)がみられる群発頭痛とは対照的である。
診断には頭部画像検査により二次性頭痛との鑑別が重要である。急性期治療薬の反応性による診断的治療は,一部の二次性頭痛を見逃す危険があるため注意を要する。
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