中央社会保険医療協議会は12月15日、在宅医療の推進について議論した。この中で訪問診療の回数に比べて往診や看取りの実績が少ない医療機関の評価の適正化や、診療所が在宅療養支援診療所等とICTなどを活用して連携し、24時間の在宅医療提供体制を整えている場合について、当該診療所と連携する在支診等の両方を評価することなどが検討課題となった。
厚生労働省が総会に示したデータでは、「在宅患者訪問診療料」の算定回数が月1000回以上の医療機関の多くは「施設入居時等医学総合管理料」の算定割合が8割を超え、施設総管の算定が8割未満の施設に比べて「ターミナルケア加算」の算定回数や往診の算定件数は少ない特徴があることがわかっている。
同様の傾向は在宅医療専門診療所にもみられ、現行の在支診の施設基準では在宅医療専門診療所(在宅患者割合95%以上)について、機能強化型在支診の施設基準に加えて看取りの年間実績などを要件に設定。満たせない場合には、「施設総管」や「在宅時医学総合管理料」の報酬が減額される。
そこで厚労省はこうした在宅医療を効率的に提供していると考えられる在支診等(在宅療養支援病院を含む)の要件を、在宅医療専門診療所を参考に厳格化することを提案。患者1人当たりの訪問診療の頻度が高い医療機関の複数回の訪問診療に関する評価を適正化する案も示した。
支払側は提案に賛同したが、診療側は反対の姿勢を表明。長島公之委員(日本医師会常任理事)は、高齢者の集住化が進む地域では必然的に訪問診療の回数が多くなる実態もあり、訪問回数の多さだけで在宅医療専門診療所並みの厳しい対応を取れば、在宅医療から撤退する施設が出てくると強い危機感を示した。
一方、在支診以外の診療所による在宅医療の推進策では、①診療所等が訪問診療を行っている患者の急変時に、連携する在支診等が地域医療情報ネットワークの活用等により診療情報等を常に確認できる体制の下、質の高い往診を実施した場合の評価、②在支診等と常に診療情報を共有できる体制を構築し、定期的なカンファレンスの実施等により質の高い連携体制を構築しながら24時間の在宅医療提供体制を備えている場合の「在宅療養移行加算」の評価のあり方―が検討課題に位置づけられた。