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機能的MRIを用いる腎臓の評価について

No.5167 (2023年05月06日発行) P.56

田中哲洋 (東北大学大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学教授)

井上 勉 (埼玉医科大学腎臓内科教授)

登録日: 2023-05-03

最終更新日: 2023-05-01

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  • 機能的MRIを用いる腎臓の評価についてご教示下さい。埼玉医科大学・井上 勉先生にご解説をお願いいたします。

    【質問者】田中哲洋 東北大学大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学教授


    【回答】

    【酸素分圧,線維化,灌流量などを評価する撮像技術の臨床応用が始まっている】

    撮像法の工夫によって,形態に留まらない機能的側面の定量的評価が可能となっています。

    (1)conventional(通常の)MRI

    X線CTと比較して,MRIは軟部組織のコントラスト分解能に優れており,腎臓の輪郭や実質厚のみではなく,皮質髄質境界が明瞭に観察可能です。腎機能の低下に伴い境界は不明瞭化し,皮質厚が減少する様子が観察されます。

    (2)blood oxygenation level dependent MRI

    磁場の不均一に敏感なT2強調画像で,常磁性体であるデオキシヘモグロビン量を評価する方法です。脳の活動部位の同定に利用されています。腎臓では,電極法で測定した組織酸素分圧と,同部位のT2値が有意に相関します。近年,T2値と推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)の年次変化量との関連が明らかとなり,腎機能予後予測への応用が期待されています。sodium–glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬の投与でT2値が改善することが報告され,同薬の腎保護機序に対応する変化として注目されています。

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