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【識者の眼】「2025年に日本で開催されるデフリンピック」森 浩一

No.5168 (2023年05月13日発行) P.58

森 浩一 (国立障害者リハビリテーションセンター顧問)

登録日: 2023-04-25

最終更新日: 2023-04-25

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2025年のデフリンピックが日本で開催されることになった。デフリンピックとは難聴者の国際スポーツ大会で、オリンピック・パラリンピックの翌年に開催される。2025年はデフリンピックの初回から100年目にあたる記念すべき大会であり、また、日本での開催は初めてである。

2021年の東京パラリンピックでは、障害カテゴリーに難聴が含まれていないことに気がつかれた方もおられただろうか。聴覚障害者にとってはスポーツを行うのに身体的問題がある人は少ないため、健聴者と同じ競技会に参加している人も多いし、補聴器を使っているプロスポーツの選手もいる。最近の補聴器は防水型もあるので、サーフィン中でも装用できる。

しかし、補聴器が有効でないほどの難聴では、音をスタートの合図やタイミングに使う競技や、声による情報が重要な競技では不利になる。陸上競技ではスタートラインの手前の足もとで信号機のような光でスタートを合図する装置もあるが、普及しているとは言えない。このため、難聴に対する合理的配慮をした競技大会が行われており、その頂上にデフリンピックがある。

デフリンピックでは、競技中は補聴器も人工内耳も使わないという規則があり、競技場内の意思疎通は国際手話を公用語としている。なお、聴覚障害者全体では、日常的には手話を使わない、あるいは使えない人の方が多いので、誤解なきよう。

わが国で毎年国体の後に開催される全国障害者スポーツ大会の参加資格は、「身体障害者手帳の交付を受けた者等」となっており、難聴者も含まれる。ただし、手帳の交付基準はデフリンピックの参加資格(55dB以上の難聴)よりも高度の難聴(原則として両耳とも70dB以上)に限定される。一方、自治体による選手選考に当たっては、障害者スポーツの地域振興を図る観点から、大会出場未経験者が出場できるように配慮することになっており、参加することにも意義があるという大会である。

2025年のデフリンピックでは21競技が11月に関東圏で開催される。パラリンピックにないものとしては、ボウリングやゴルフ、伊豆大島でのオリエンテーリングがある。15以上の会場で実施されるので、広い地域で難聴の選手や関係者が一般医療機関を受診する可能性もある。その場合は筆談(+自動翻訳)や遠隔手話通訳の利用など、皆様のご理解とバリアフリーな対応をお願いしたい。

【参考】

▶スポーツ庁Web広報マガジン:DEPORTARE, 2025年デフリンピックの招致決定! 相次いで日本で行われるパラスポーツの国際大会.(2022年10月4日)
https://sports.go.jp/tag/disability/2025.html

森 浩一(国立障害者リハビリテーションセンター顧問)[聴覚障害][日本ろうあ連盟][全国障害者スポーツ大会]

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