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【識者の眼】「野菜や果物など一般食品の表示に対する法律の網」大野 智

No.5165 (2023年04月22日発行) P.62

大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)

登録日: 2023-04-13

最終更新日: 2023-04-13

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筆者が補完代替療法に関わり始めた約20年前、「野菜や果物などの一般食品は薬事法の対象外だから、病気の予防や治療に関する表示をしても罪に問うことができない」と言われていた。事実、スーパーなどの店頭では、冬になれば風邪予防にビタミンC豊富な果物、花粉症の時期にはアレルギー対策としてヨーグルトなどといった宣伝文句がPOP広告に堂々と書かれていた。また「魚を食べると頭がよくなる」といった歌が鮮魚売り場で延々と流れていたこともある。

このような状況が許されていたのは、通称46通知1)において「医薬品の範囲に関する基準」が示され「野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物」は旧薬事法の適用を受けないものとされていたことによる。また景品表示法や健康増進法においても、規制の対象となる「いわゆる健康食品」は、法令上、明確に定義されておらず、「一般的には、健康の保持又は増進に係る効果、機能等を表示して販売・利用されている食品(栄養補助食品、健康補助食品、サプリメントなど)全般を指すもの」と説明されていた。

しかし、そのような法律の抜け穴を利用したような都市伝説に終止符が打たれた。

消費者庁が昨年末に公表した資料2)において、景品表示法及び健康増進法の対象となる「健康食品」を、「錠剤やカプセル形状の食品のみならず、野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに一般の食品と認識される物を含め、食品として販売に供する物」と定義したのである。そのため、消費者庁が実施している健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善要請にて、ほとんど対象とされてこなかった生鮮食品(農産物、水産物、畜産物)の件数が直近の調査で一気に増加した3)

このような規制強化がなされた背景には、食品(生鮮食品を含む)を販売する企業の宣伝手法が巧妙化、悪質化したことがあるのか、「食品で病気が予防・治療できる」と安易に考えてしまう消費者のリテラシーの低さがあるのか、消費者庁の資料から読み解くことはできなかった。もし、後者であれば手放しに喜べるものではないのかもしれない。

【文献】

1)厚生省薬務局長通知:無承認無許可医薬品の指導取締りについて(薬発第 476 号), 昭和46年6月1日.
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1

2)消費者庁:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について. 令和4年12月5日一部改定.
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms214_221205_01.pdf

3)消費者庁:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和4年10月〜12月), 令和5年2月27日.
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_230227_01.pdf

大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法

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