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持続性知覚性姿勢誘発めまいの治療のポイントと留意点は?

No.5160 (2023年03月18日発行) P.51

竹内万彦 (三重大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科教授)

堀井 新 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野教授)

登録日: 2023-03-16

最終更新日: 2023-03-14

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  • 持続性知覚性姿勢誘発めまい(persistent postural-perceptual dizziness:PPPD)の定義がされてから,それまで「めまい症」と診断されてきた患者の何割かはこれに相当すると考えられます。本症に有効な治療がいくつか報告されているようですが,精神疾患が合併することもあり,治療を行うにあたってのポイントと留意点をご教示下さい。
    新潟大学・堀井 新先生にご解説をお願いします。

    【質問者】竹内万彦 三重大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科教授


    【回答】

    【SSRI/SNRI,前庭リハビリテーション,認知行動療法が有効である】

    立位・歩行,体動,視覚刺激で増悪する前庭症状が3カ月以上続く場合,PPPDと診断します。急性めまい疾患に続発し,不安症など精神疾患や内耳疾患を併存することがありますが,それらでは症状が説明できないときに診断します。PPPDは除外診断ではないことに注意が必要で,めまい症とされてきた症例の2/3程度がPPPDと推定されます。

    PPPDに自然軽快は少なく,無治療の場合,3/4は不安症やうつなどの精神疾患を続発し長期に症状が持続します。また,除外診断であるめまい症と比べDHI(dizziness handicap inventory)が有意に高く重症度が高いことから,めまい症とはっきり区別し,適切に治療すべきです。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)/SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)による薬物治療,前庭リハビリテーション,認知行動療法が有用ですが,各施設で対応可能な治療を使い分けて頂きたいと思います。それぞれ作用機序は異なると考えられ,重症例ではこれらを組み合わせて治療します。

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