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放射線治療後の食道悪性狭窄へのステント留置について

No.5158 (2023年03月04日発行) P.50

由雄敏之 (がん研有明病院上部消化管内科食道担当部長)

伊藤信仁 (名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)

登録日: 2023-03-06

最終更新日: 2023-02-28

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  • 放射線治療後の食道悪性狭窄へのステント留置について,名古屋大学・伊藤信仁先生にご解説をお願いします。

    【質問者】由雄敏之 がん研有明病院上部消化管内科食道担当部長


    【回答】

     【low radial force stentは,有害事象が少なく比較的安全に留置できる】

    進行食道扁平上皮癌は,腫瘍進行により食道周囲の臓器に浸潤し,腫瘍増大により食道狭窄を伴う症例が多いです。cStageⅡ,Ⅲの食道癌に対しては,術前化学療法を行い,外科的切除を行うのが標準治療となっていますが,手術不耐,手術希望のない症例においては,根治的化学放射線療法を行います。また,cStageⅣa食道癌では根治的化学放射線療法を行い,食道狭窄を伴うcStageⅣb食道癌に対しては緩和的な放射線療法を行います。

    食道扁平上皮癌は放射線感受性が高く,根治的化学放射線療法で治癒する症例もありますが,局所に腫瘍が遺残・再発する症例もあります。深達度がcT1bまでの浅い腫瘍であれば,光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)によるサルベージ治療で76.4%(110/144)の局所制御率が得られる1)とされていますが,T2以深の腫瘍では,PDTや後治療の化学療法で腫瘍をコントロールできる可能性が低く,腫瘍増大により食道悪性狭窄となる症例を多く経験します。

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