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炎天下での労働後に発熱,嘔気,下痢をきたした60歳男性[鑑別診断塾入門(42)]

No.5148 (2022年12月24日発行) P.7

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-12-23

最終更新日: 2022-12-22

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【現病歴】X-11日,39℃の発熱があり,体全体に力が入らないと感じた。X-8日,近医で総合感冒薬,レボフロキサシンの処方を受ける。X-2日,服用を続けたが連日38℃の発熱があった。嘔吐と水様性下痢も出現し,水分でも吐いてしまい,傾眠傾向で応答が緩慢になってきた。X-0日,他院を受診したが,熱源不明で当院へ紹介。
<追加の情報>
発症に先行して焼肉,焼き鳥などの摂取歴なし。発熱は38℃台で稽留。悪寒・戦慄なし。嘔気,嘔吐と水様性下痢の出現はほぼ同時期。これまで繰り返す下痢の病歴はなし。嘔気は嘔吐しても改善しない。2年前と比べ20kgの意図せぬ体重減少(X-11日以前は,比較的食欲はあった)。寝汗なし。発症前は,連日猛暑下で肉体労働に従事。
【既往歴】虫垂炎術後。X-5年,十二指腸潰瘍。
【内服薬】X-5年からランソプラゾール15mg
【生活歴】喫煙:30本/日×40年。飲酒なし。
【バイタルサイン】傾眠,GCS:E3V5M6(14点),BP 125/72mmHg,HR 146/min(整),RR 22/min,BT 38.6 ℃,SpO2 98%(RA)
【身体所見】頭頸部:甲状腺腫大ははっきりしない。胸部:肺野に異常なし。心雑音なし。腹部:平坦かつ軟で圧痛なし。腸雑音は亢進。直腸診で前立腺に圧痛なし。背部:CVA圧痛なし。四肢:発赤腫脹なし。神経学的所見:髄膜刺激症状なし。明らかな神経局在症状なし。

 キーワード 
・体重減少(比較的食欲はあった)
・炎天下での肉体労働後
・急性発症
・嘔吐・水様性下痢
・傾眠
・レボフロキサシン不応性の発熱
・HR 146/min

考えられる診断は?

A. サルモネラ腸炎
B. 腸結核
C. 潰瘍性大腸炎
D. 甲状腺クリーゼ
E. 膠原線維性大腸炎

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