株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

先天性内反足[私の治療]

No.5147 (2022年12月17日発行) P.48

町田治郎 (神奈川県立こども医療センター総長)

登録日: 2022-12-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 生下時に前足部内転,後足部内反,足全体の尖足を呈する。発生頻度は約1000人に1人で,男子は女子の2~3倍である。片側例と両側例はほぼ同数で,左右も同数である。親族が先天性内反足の場合には,発生頻度は10~20倍になると言われているが,遺伝子は同定されていない。特発性と症候性に分類される1)

    ▶診断のポイント

    親族に手足の変形があるかを問診する。視診だけではなく実際に足を触って,外反矯正や背屈してみることが重要である。重症例では,外反矯正や背屈しようとしても20°以上変形が残存する。軽症例では,中間位まで矯正できる場合もある。一般病院でX線検査をする必要はない。専門病院に受診した際に,足部のストレスX線撮影を行う。足部X線像は,軽度外転位で正面像を,最大背屈位および最大底屈位の側面像を撮影する。正面像で距骨と踵骨の重なりが強く,最大背屈位側面像では脛距角105°以上,脛踵角70°以上である2)

    徒手矯正操作にて尖足がなく,前足部の内転のみがみられる場合は内転足である。子宮内での肢位によることが原因で自然に治る場合も多いが,歩行開始後も内転変形が残存することもあるので,念のため専門医に診てもらったほうがよい。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    先天性内反足は25年くらい前までは距骨下全周解離術という手術が主流であったが,固い足になってしまうという反省により,20年ほど前から広範な軟部組織解離術を行わないPonseti法が全世界でgold standardとなった。

    Ponseti法は尖足のままギプスによる凹足矯正を行い,尖足はアキレス腱の皮下切腱により対処する。その後に,足部を70°外旋位に保つ足部外転装具を歩行開始までは23時間,歩行開始後は夜間のみ4歳まで使用するという治療体系である。日本でもPonseti法が主流となり,先天性内反足の初期治療成績は著明に改善した。しかし,装具の装着をいやがる患児も多く,装具を装着しないと治療成績は不良である。また,重症例では,装具を装着していても変形遺残や再発が問題となる。

    残り899文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top