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抗菌薬が効かない発熱と頭痛で来院した87歳女性[鑑別診断塾入門(36)]

No.5135 (2022年09月24日発行) P.9

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-09-22

最終更新日: 2022-09-21

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【現病歴】X-20日,37℃後半から38℃前半の発熱,右側頭部から前頭部の痛みを自覚。近医でアセトアミノフェン,セフジトレン ピボキシル処方となる。X-15日,解熱しないためレボフロキサシンに変更となるが,解熱せずX-10日,9日に近医でセフトリアキソンの点滴を受け,X-8日,当院内科紹介となる。炎症反応はあるものの,造影CT,心エコーを施行したが熱源は不明であった。その後も発熱が持続し,当院再診となった。
<追加の情報>
頭痛は疼くような痛みで拍動性ではない。顎跛行なし。食欲は半減。半年前から右耳の難聴を自覚していたが,年齢のせいと考えていた。耳痛なし。
【既往歴】発症時期不明の高血圧,脂質異常症。
【内服薬】シンバスタチン5mg,アムロジピン5mg
【バイタルサイン】BP130/82mmHg,PR 82/min,RR 16/min,BT 37.2℃,SpO2 95%(RA),意識清明
【身体所見】頭頸部:視力低下なし。頭皮に皮疹なし。側頭動脈を触知し,硬結・圧痛なし。前頭洞,上顎洞付近に圧痛なし。右耳に水疱なし。神経:髄膜徴候なし。聴力は右優位に低下。顔面神経麻痺はなく,神経学的にも異常なし。

 キーワード 
・半年前からの右側の難聴
・亜急性経過の発熱,右側頭から前頭部痛
・抗菌薬不応性
・頭皮,右耳に皮疹なし
・耳痛なし
・前頭洞,上顎洞付近に圧痛なし
・側頭動脈を触知し,硬結・圧痛なし
・顔面神経麻痺なし

考えられる診断は?

A. 巨細胞性動脈炎
B. ANCA関連血管炎性中耳炎
C. 頭蓋底骨髄炎
D. 副鼻腔炎
E. Ramsay-Hunt症候群

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