株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

嘔気・嘔吐[私の治療]

No.5135 (2022年09月24日発行) P.42

小川広晃 (慶應義塾大学医学部救急医学教室)

登録日: 2022-09-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 嘔気・嘔吐は多彩な疾患の随伴症状であり,その中には急性心筋梗塞などの危険な疾患も多くあるので,注意が必要である。症状を改善させると同時に,原因となる疾患が何かを考える必要がある。

    ▶病歴聴取のポイント

    発症様式(急性または慢性発症),臓器別に嘔気・嘔吐以外の随伴症状がないかを聴取する(頭痛,胸痛,腹痛,背部痛,膀胱刺激症状,下痢,発熱など多岐にわたる)。

    既往歴,内服歴,手術歴,飲酒歴,心血管系のリスクとなる因子がないか詳細に聴取することが重要である。糖尿病患者では内服コンプライアンスの確認も必要である。若年女性では妊娠の可能性も考慮する必要があり,パートナーの有無などの確認も必要である。その他,感染症の流行や食物摂取歴など詳細な問診が必要である。しかし高齢者では随伴症状が乏しく,問診から鑑別を絞るのが困難なことも多い。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    発熱の有無,ショックなどになっていないか,血圧が上昇していないかなどを確認する必要がある。呼吸数や呼吸様式などはアシドーシスを疑う重要な所見である。

    【身体診察】

    鑑別疾患からもわかるように,全身の診察が必要である。胸部聴診,腹部診察,肝・腎叩打痛,Murphy徴候の有無,必要に応じて神経診察なども行う。その他,食事摂取低下による脱水の所見(舌・粘膜の乾燥,ツルゴール反応の低下)などは点滴治療を行う上で重要である。

    残り1,269文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top