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去勢抵抗性前立腺癌に対するラジウム-223治療の上手な使い方は?

No.5134 (2022年09月17日発行) P.53

塩田真己 (九州大学病院泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師)

橋本浩平 (札幌医科大学医学部泌尿器科学講座講師)

登録日: 2022-09-20

最終更新日: 2022-09-13

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  • 去勢抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer:CRPC)に対するラジウム- 223治療の上手な使い方についてご教示下さい。
    札幌医科大学・橋本浩平先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    塩田真己 九州大学病院泌尿器・前立腺・腎臓・副腎外科 講師


    【回答】

    【骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌からbone predominantな症例を選択することが重要】

    ラジウム-223治療は多発骨転移を有するCRPCにおいて骨転移の制御ならびに予後の延長を示し,骨転移を有するCRPCの重要な治療のひとつです1)。しかし,ラジウム-223の特性から骨転移巣に対してのみしか抗腫瘍効果を発揮できないため,臓器転移を有する症例には適応はありません。また,CRPC治療の中心的な役割を担う新規アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬やタキサン系抗癌剤を併用することが認められていないため,ラジウム-223治療期間である6カ月の間に骨転移以外の病巣が進行するリスクを伴います。

    戦略的にラジウム-223を使用するために,どういった症例にどのようなタイミングで治療介入することが適しているのかを明らかにしていく必要があります。

    ラジウム-223は高い線エネルギー付与と短い飛程を特徴とするα線を放出します。リン酸やカルシウムとハイドロキシアパタイト複合体を形成することにより,骨転移部位など骨代謝の亢進した部位に集積する特性を有し,隣接する腫瘍細胞のDNA二重鎖を切断することにより抗腫瘍効果を示します。α線の短い飛程のため,骨髄など周辺の正常組織における吸収線量は限定的とされています。しかし,この特性が骨転移には強い効果を示す一方,骨転移以外の転移部位には影響を及ぼしづらく前述した問題が起こります。

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