株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

喘息COPDオーバーラップ症候群(ACOS) 【喘息とCOPDの特徴を併せ持っており,治療法はどちらの特徴を優位に示すかで適宜変更】

No.4823 (2016年10月01日発行) P.56

小林信之 (国立病院機構東京病院統括診療部部長)

登録日: 2016-10-04

最終更新日: 2016-10-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

喘息と慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の鑑別は,特に喫煙者や高齢者では難しいことがあり,両者の特徴を持ち合わせた患者群がある。2014年に開かれたglobal initiative for asthma(GINA)とglobal initiative for chronic obstructive lung disease(GOLD)の合同会議では,両者の病態・特徴を併せ持つ固定性気流閉塞を呈する患者群に対して,「喘息COPDオーバーラップ症候群(asthma-COPD overlap syndrome:ACOS)」という,新たな疾患を提唱した。喘息とCOPDは,お互いが他方の発症危険因子であり,両者の合併したACOSでは増悪の頻度が高く,QOLも低く,予後は悪い,とされている。

前出の合同会議ではACOSの初回治療として,喘息の特徴を優位に示す患者には,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)を基本として長時間作用性β2刺激薬(long acting β2 agonist:LAB A) and/or 長時間作用性抗コリン薬(long-acting mu­scarinic antagonist:LAMA)を追加することが示された。一方,COPDの特徴が目立つ患者には,ICSは単独では使用せず,気管支拡張薬(LABA and/or LAMA)を併用すべきであると指摘している。喘息,COPDが同等に併存するACOSでは,ICSにLABA and/or LAMAを追加した治療が推奨されている。

【参考】

▶ GINA.
[http://ginasthma.org/asthma-copd-and-asthma-copd-overlap-syndrome-acos/]

【解説】

小林信之 国立病院機構東京病院統括診療部部長

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top