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【識者の眼】「チャイルド・デス・レビューにおける臨床医の役割」沼口 敦

No.5119 (2022年06月04日発行) P.58

沼口 敦 (名古屋大学医学部附属病院救急・内科系集中治療部部長、病院講師)

登録日: 2022-05-10

最終更新日: 2022-05-10

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わが国の子ども(本稿では18歳未満を指す)の死亡原因の内訳は、2017〜20年には内因67%、外因23%、原因不詳(原因が十分明らかではない、予測されなかった死)10%であった。ただし、年齢によってその割合は大きく異なり、新生児(1カ月未満)の死亡はほとんどが内因死(病死)で、年代が上がるとともに内因死が減って外因死が増加する。また、0歳児のうち新生児を除く月齢1〜12の群で、原因不詳が多い。

先行する欧米でチャイルド・デス・レビュー(CDR)は、まず虐待死を主な検証対象とし、その後、虐待の見逃しを防ぐことを主眼に、その他の外因死にも対象を拡大してきた。外因死には予防のために介入できる因子が同定されやすく、これらへの介入は社会の安全性にわかりやすく直結することから、防ぎうる死(Preventable Death)の筆頭と言える。また、原因不詳の突然死(乳幼児突然死症候群:SIDSを含む)は、現場検証情報との擦り合わせと外因の鑑別、死因究明と死亡診断のあり方など、多職種間で検討されるべき事項が多い。

わが国でCDRは網羅的であることをめざしているが、事例に応じて検証の濃淡をつける必要性が想定される。上記のとおり、外因死や原因不詳の死の多くはCDRにとって重要な対象であるが、これまでの研究によると、内因死であっても7〜8%程度は、多職種多機関による検証が行われるべき対象である。ただ死亡統計上の傷病名等から自動的に「詳細な検証の対象か否か」を振り分けることは難しく、死亡診断に至った診療の記録をもとに判定するありかたが模索されている。

診療情報を収集するのは、臨床医である。このように臨床医は、多機関検証を要する事例を正しく把握するためのゲートキーパーであり、言い換えればCDRの一連の流れにおいて最初の段階のキーパーソンとも言える。

沼口 敦(名古屋大学医学部附属病院救急・内科系集中治療部部長、病院講師)[子どもの死亡]

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