株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

食道アカラシア[私の治療]

No.5114 (2022年04月30日発行) P.43

岩谷勇吾 (信州大学医学部内科学第二教室)

梅村武司 (信州大学医学部内科学第二教室教授)

登録日: 2022-04-30

最終更新日: 2022-04-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 食道アカラシアは,食道体部の蠕動障害と下部食道括約部(lower esophageal sphincter:LES)の弛緩不全を呈する原因不明の疾患であり,慢性的な嚥下障害がみられる。

    ▶診断のポイント

    主な症状は嚥下障害(食物のつかえ感)であり,進行すると口腔内への食物逆流や体重減少がみられる。誤嚥により肺炎をきたす場合もあり,高齢者では致命的となることもある。また胸痛がみられることも多く,時に心疾患との鑑別が必要となる。

    症状より食道アカラシアが疑われる際には,まず上部消化管内視鏡が行われることが多い。食道内の食物残渣や泡沫状残渣,胃食道接合部の強収縮を示すロゼッタ徴候などの特徴的な所見がみられる場合は食道アカラシアがより疑われるが,必ずしも典型的な所見が得られないこともある。嚥下障害がみられる場合は,食道X線造影検査を併用することも重要である。造影検査では食道拡張,変形,バリウムの排出遅延などがみられ,これらの特徴的な所見が得られた場合には,確定診断のために食道内圧検査を行う必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療法には主に薬物療法(硝酸薬,Ca拮抗薬,漢方薬),バルーン拡張術,外科手術(一般的には腹腔鏡下Heller-Dor手術),経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)がある。

    内服治療はあまり効果的ではなく,軽症例には試みてもよいが,効果が得られない場合は早々に専門医へのコンサルトが必要である。バルーン拡張術は効果にばらつきがあり,また単回では長期的な効果に乏しいことから,若年者(40歳以下)には積極的には勧められない。外科手術とPOEMについては,短期成績に関してはほぼ同等(奏効率90%以上)とされる。しかし,食道内圧検査による病型分類(シカゴ分類type I,Ⅱ,Ⅲ)別では,type I,Ⅱにおいては両者の治療効果はほぼ同等だが,食道体部に強い収縮を伴うtype Ⅲでは外科手術の効果は劣るとされ,POEMが積極的に考慮される。

    当院では,食道アカラシアの症状によって生活の質が低下し,全身麻酔が可能な患者に対しては,低侵襲性・治療効果の持続性からPOEMを第一選択として行っている。

    残り1,048文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 脳神経外科・一般外科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科・泌尿器科 各1名、消化器内科 2名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。長崎県島原半島の西部地区に位置し、二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    3階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。
    医療から介護までの医療設備等環境は整いましたので脳神経外科医、一般外科医、呼吸器内科医、循環器内科医、神経内科医、消化器内科医の先生に常勤医師として、地域に信頼される病院を一緒に築いていただける医師をお待ちしております。
    また、新たに透析治療ベッド数15床を開始致しました。将来は、ベッド数を25床に増床することを計画しています。泌尿器科(腎臓内科)医の先生を募集し、新病院の充実を図ってまいります。

    もっと見る

    関連物件情報

    page top