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【識者の眼】「2022年度診療報酬改定で驚いたこと」鈴木邦彦

No.5110 (2022年04月02日発行) P.58

鈴木邦彦 (医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)

登録日: 2022-03-24

最終更新日: 2022-03-24

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2022年度診療報酬改定で驚いたことが2つある。

1つは看護職員処遇改善の対象が、8200病院のうち2800の救急病院に限定されたことである。当院を含む他の中小病院や多くの有床診療所、診療所は、様々なコロナ対応をしたにもかかわらず、対象外となった。処遇改善そのものは医療においては画期的な取り組みで、その英断には心から感謝するが、介護報酬の処遇改善加算は通常の介護を提供している9割以上の事業者が対象である。しかし今回、職員の処遇改善の対象外とされたことは、「要らない病院」との烙印を押されたも同然である。今後、職員確保がさらに困難になることが予想されるとともに、人口4万人弱の小都市の中小病院として、もう1つの公的急性期中小病院との機能分化により救急以外を担当し、良質な医療を提供してきたつもりでいたので本当にショックであった。今は病院としての生き残りを賭けて、一時地域医療構想を棚上げしてでも、現在年間120件程度の救急搬送を、処遇改善の対象となる200件以上にすべく大号令をかけている。

もっとも、本年9月末までは補助金を充て、診療報酬での対応は10月以降になる。今回はこれまでの改定の方向性とは異なる「コロナ改定」の側面もあるので、財源を含めてやむをえない事情は理解するが、医療は救急だけで成り立つものではない。高度急性期、急性期、回復期、慢性期のどの機能を選択しても、良質な医療を提供すれば平等に評価されるという、地域医療構想の大原則に立ち戻った議論を通じ、医療機関の機能分化と連携が再び進むことを期待して、4月以降の中医協の議論を注目したい。

もう1つはリフィル処方箋の導入である。筆者が中医協委員の時にも導入の動きがあったが、分割調剤で対応できると主張して議論が進むことはなかった。処方権は医師にあるので出さなければ済む、と言う方もいるが、相手方は今回は導入さえできれば満足であろう。

特に外来中心の診療所経営への影響が強く懸念される。そもそもリフィル処方箋は出来高払いとは相容れない概念なので、今後、外来報酬の包括化の議論が進む可能性もある。

2年後の「大惑星直列」の同時改定に向けて、議論の行方にますます目が離せなくなった。

鈴木邦彦(医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)[看護職員処遇改善][リフィル処方箋]

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