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【OPINION】隠れ脳梗塞リスク評価とアクロレイン抱合体─その信頼性を問う

No.4814 (2016年07月30日発行) P.18

桑島巖 (臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR) 理事長 東京都健康長寿医療センター顧問)

登録日: 2016-06-16

最終更新日: 2017-01-20

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  • 1.「隠れ脳梗塞リスク評価します」というチラシ

    今年3月某日、私の外来に高血圧で通院している千葉市在住の78歳の女性からこんな相談を受けた。

    「先日、家のポストに、“あなたの隠れ脳梗塞リスクを評価します”というチラシが入っていました。採血するだけでよいというし、千葉市や千葉大学の名前も入っているので信用して、記載してあった病院で検査を受け、費用として6000円支払いました。数日後、郵送されてきた検査結果には、『今回の検査結果による脳梗塞リスク値は0.90です』とあり、評価として高値(0.8~1.0)の欄に○印がつけられ、コメントとして『現時点で数値は高めでしたので、脳の精密検査をお勧めいたします』とありました。本当に脳の精密検査が必要でしょうか?」

    私はその患者さんを3年ほど診察しているが、認知症の徴候はまったくなく、千葉市から都内まで月1回1人で電車通院しているしっかりした方で、血圧も正常にコントロールされている。私は「脳の検査の必要性はまったくありません」と回答した。

    脳梗塞リスク評価は、アミンファーマ研究所という千葉市にあるベンチャー企業が受託測定機関となっている。ホームページには、千葉大学名誉教授の五十嵐一衛氏が代表取締役社長を務め、千葉市やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などから助成金を受託し、産学官連携功労者表彰も受けていると記載されている。千葉県、東京都を中心にすでに200を超える医療機関、人間ドック等で採用されているという。

    社長挨拶には以下のような説明がある。

    「私は、千葉大学大学院薬学研究院の教授として、ポリアミンという物質に関わる研究を行っておりました。その際、偶然にも、ポリアミンから産生されるアクロレインという物質に強い毒性があり、脳梗塞と関連性があることが分かりました」

    ホームページには文献リストも掲載されているが、ほとんどが動物実験などの基礎研究である。

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