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【識者の眼】「新型コロナワクチン接種を希望しない人へのアプローチの必要性」和田耕治

No.5082 (2021年09月18日発行) P.59

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-09-07

最終更新日: 2021-09-07

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米国などでも見られているように、国内でも、新型コロナに感染して重症化する人はワクチン接種をしていない人、となりそうである。今回は、「接種を希望しない人」の特徴を見ながら今後のアプローチを考えたい。

筆者らが7月中旬に首都圏の20〜69歳を対象に行った調査では、「あまり接種したくない」または「接種したくない」(これらの方を「希望しない人」とする)は17%であった。年代別に見ると、男性では20代が23%、女性では40代が22%と最も多かった。

「政府の予防接種に関する推奨」を信頼している人の割合は、希望者は51%だったが、希望しない人では18%程度で少なかった。

健康情報のリテラシーの自己評価で見たところ、希望しない人では、約3割はワクチンに関する情報の信頼性を「判断できる」と回答しているが、「判断が難しい」と回答した人も3割弱いた。同じように希望しない人でも、この2群へのアプローチはだいぶ異なる。希望しない人のうち、接種に関して最も信頼している情報源がSNSという人は13%であった。同様の回答は希望者では1%程度であり、それと比較すると非常に多かったことも特徴である。

希望しない人が感染し、重症化することは、ともすれば「自己責任」という捉え方をされるかもしれない。しかし、筆者としては、健康に関する情報やその判断を正しく支援できなかった可能性があり、支援の余地があるのではないか、と考える。

国内で1億3000万回以上の接種を終え、効果や安全性も国内でリアルワールドデータが蓄積されている。今後はもう一歩進んだワクチン接種の確認や推奨をしてはどうか。筆者らは外来の場などでワクチン接種の状況について問う簡単なリーフレットを作成している(https://plaza.umin.ac.jp/~COVID19/core/Confirmation_tool_hospital.pdf)。 

強制すると対立を生むかもしれないが、ワクチン接種の有無を話題にし、まだであれば接種場所を紹介するなどして地域でワクチン接種者の割合を増やしていくことが、その地域を守ることにもつながる。

最後にもう一つデータを。知り合い(メールや電話で連絡が取れる人)でワクチン接種をした人がいるかを聞いたところ、7月中旬の段階で約8割が「いる」、2割が「いない」と回答した。前者は6割程度がほぼ接種に前向きであったが、後者は35%しか前向きではなかった。もしかしたら接種に関する困難の背景には人のつながりにも課題があるかもしれないので、声をかけたり、接種体験を話題にすることは市民の間でもぜひお願いしたい。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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