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【識者の眼】「労務管理者にとって大きな問題となる宿日直許可」小林利彦

No.5079 (2021年08月28日発行) P.60

小林利彦 (浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センター特任教授)

登録日: 2021-08-02

最終更新日: 2021-08-02

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2024年4月からの「医師の時間外労働規制」において、大学病院など、休日や時間外に地域の医療機関で当直を行っている医師が多い病院では、個々の医師の複数施設での時間外総労働時間が、年間960時間以上(1860時間未満)の「連携B水準」に相当するか否かが問題になる。その際、日中に行う「日直」であれ、宿泊を伴う「宿直」であれ、当直が指揮命令下にあれば労働時間としてカウントされる。ただし、一定の要件を満たし「断続的な業務」として労働基準監督署長の許可を得た場合は、労働基準法施行規則第23条により、当該業務は時間外労働や休日労働には該当しないとされる。これが、いわゆる「宿日直許可」である。

これまでも、療養型病院などで、いわゆる「寝当直」とされる外勤を行う医師は少なくなかったと思われるが、当該施設が宿日直許可を得ているか否かは、これまであまり問題にならなかったように感じる。ところが、今回の法改正により、当直の時間帯を労働時間としてカウントするか否かは、主たる勤務施設の労務管理者にとって大きな問題となる。

そのような背景のもと、厚生労働省が病院関係団体に宿日直関係の資料を提示する機会が最近増えている。それらの資料には、対象業務が①通常の勤務時間から完全に解放された後のものである、②宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限る、③一般の宿日直の許可の条件(1:常態としてほとんど労働することがない、2:通常の労働の継続ではない、3:宿日直手当額が同種の業務に従事する労働者の1人1日平均額の3分の1以上である、4:宿日直の回数が、原則として宿直は週1回、日直は月1回以内である、5:宿直について相当の睡眠設備を設置している)を満たしている、④宿直の場合は十分な睡眠がとりうる─といった条件を満たし、施設管理者が必要な書類添付のもと申請し許可された場合に「宿日直許可書」が交付されるとある。

これらの内容は、2019年7月1日の労働基準局長通達と大きく変わるものではないが、許可・不許可の具体的事例がいくつか提示されていることから、関係医療機関には役立つものとなっているように思う。とはいえ、この種の申請に不慣れな医療機関にとって、各都道府県の勤務環境改善支援センターの役割は大きなものがあると考える。

小林利彦(浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センター特任教授)[医師の働き方改革]

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