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【確定申告の豆知識】確定申告で払いすぎた税金を還付してもらうにはどうすればよいか?[開業医の教科書Q&A(15)]

No.5074 (2021年07月24日発行) P.48

笠浪 真 (税理士法人テラス 代表税理士)

登録日: 2021-07-26

最終更新日: 2021-07-20

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【確定申告の豆知識】確定申告で払いすぎた税金を還付してもらうにはどうすればよいか?

「税金を払いすぎた」「還付される税金が少ない」という場合には,「更正の請求」という,間違いを修正して還付してもらえる制度があります。

確定申告をした後で,納めた税金が多すぎた,もしくは還付される税金が少なかったことに気づくケースがあります。
その場合,「更正の請求」という手続きをすれば,払いすぎた税金を還付してもらえることがあります。更正の請求とは,更正の請求書を提出することで,税務署がその内容の検討をして,納めすぎの税金があった場合(繰越金額を含む)に,減額更正をして税金の還付をする制度です。所得税だけでなく,法人税,消費税,相続税,贈与税などにも適用されます(国税通則法第23条等) 1)2)
今回は更正の請求の条件,注意点,手続きについてお伝えします。
その他,確定申告で知っておきたい豆知識(クレジットカード納付や寄付金控除)についてもお伝えします。

1:どんなときに更正の請求ができるか?

更正の請求は,税法の規定に従っていなかったり,計算を間違えたりして,過大申告となった場合に採用できる手続きです。

①税額が実際よりも大きくなっていた
②純損失等の金額が実際よりも小さくなっていた
③還付金が実際よりも少なくなっていた

よくある過大申告の例を挙げます。

・売上を多く申告してしまった
・経費となるべきものを入れていなかった
・ふるさと納税など寄付金控除の申告を忘れていた
・医療費が10万円を超えたのに医療費控除をしていなかった
・開業初年度分の確定申告で,開業前の費用を計上していなかった

しかし,次のような場合は、税法の規定に従っていなかったり,計算を間違えたりしたわけではないので,更正の請求はできません。

・減価償却資産の償却を限度額まで行わなかった
・損金算入の経理処理をすることを要件としているのに,その処理を行わなかった

2:更正の請求を行うときの5つの注意点

税金を払いすぎたために更正の請求をする際は,主に次の5点について注意して下さい。

1)承認されるとは限らない

更正の請求は,「手続きをすれば,必ず認められる」というわけではありません。

たとえば,ある開業医の先生は,お正月に看護師やスタッフの家族に豪華なおせち料理を贈っていました。これを“福利厚生費”としたかったのですが,税務署には“交際費”と指摘され,経費として認められませんでした。
また,税額計算が法律の規定通りでなかったり,訂正内容を証明する証拠がなかったりする場合は,請求が却下されてしまいます。

つまり,申告書の内容などを税務署で確認し,妥当と判断された場合のみ請求が通ります。

なお,2012年2月2日以降から,更正の請求を行う際には「事実を証明する書類」の添付が必要となっています3)

また,更正の請求が認められないことに納得がいかなかった場合,不服を申し立てる権利 が認められています4)。処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内に,税務署長に対して「再調査の要求」を行います。それでも納得がいかなければ国税不服審判所長に対して「審査請求」を行い,さらに不服があれば裁判所に訴訟を起こすという流れになります。

2)期限は原則,確定申告後5年まで

更正の請求の申請は,その年度の確定申告期限の最終日より5年までと定められています1)
たとえば2021年度の確定申告の場合,2027年3月15日が更正の請求の期限日になります。

ただし,法人税で純損失等の金額について更正の請求をする場合には,2018年3月31日までに事業開始した場合は申告期限が9年,2018年4月1日以降に事業開始した場合は申告期限が10年 となります5)
なお,確定申告の期限内に間違いに気づいた場合は,更正の請求ではなく,通常の確定申告書を訂正して下さい。

3)請求前に確定した税額の徴収は,原則,猶予を認められない

更正の請求を行っても,その請求前に確定した税額の納付義務は課せられたままの状態のため,原則として徴収の猶予は認められません。猶予が認められるのは,災害,盗難,納税者やその家族の病気やケガ,事業の休廃業や著しい損失などの事実がある場合のみです6)

「更正の請求が認められるはず」と思い込んで,更正の請求前に確定した税額を納めないでいると,滞納処分を受ける可能性があります。

4)税務調査のために証拠資料を残しておく

税務調査が入った場合に,更正の請求に関して確認されることもありえます。
そのため,更正の請求をする際は,できる限り証拠資料を残しておくようにしましょう。

5)虚偽申告は処罰対象

更正の請求で虚偽申告をした場合,処罰の対象となります。具体的には,1年以下の懲役 または50万円以下の罰金が科せられます3)

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