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特集:メトホルミンマニア─多彩な作用機序を理解して実際の使用法を考える

No.5074 (2021年07月24日発行) P.18

篠田純治 (トヨタ記念病院内分泌・糖尿病内科科部長)

登録日: 2021-07-23

最終更新日: 2021-07-26

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篠田純治
名古屋大学医学部卒業。1996年からトヨタ記念病院。糖尿病・内分泌の診療・学術活動・若手教育に励む。栄養学(NST)も専門とし,日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)の指導医・代議員・NST委員会委員でもある。

1 メトホルミンマニアへの序章─メトホルミンとは?
・1995~2000年頃にかけて再評価され,2型糖尿病薬物治療の中心的薬剤のひとつ
・安価であり,血糖降下作用以上の報告(NASH・がん・抗加齢・認知症など)もあり
・近年新たな多彩な作用機序の報告が相次いでいる

2 メトホルミンの作用機序
・肝臓の糖新生の抑制,AMPK活性化以外に多彩な作用機序が近年報告多数
・肝細胞におけるミトコンドリアの内でも外でも多彩な作用
・インクレチン作用増強
・血液に入る前の十二指腸や上部消化管からでも作用
・腸管における多彩な作用(腸内細菌・胆汁酸……)
・血液循環から便中への糖排出を促進?

3 メトホルミンの実際の使用法
(1)用量
・メトホルミンは用量依存的に血糖降下作用が増強
・その効果は,米国人では2000mgまでであるのに対し,日本人では1500mgまでの可能性がある
・メトホルミンの用量増量効果はあるが,同時に食事療法も重要

(2)投与回数
・添付文書では,メトホルミンの投与回数は1日2~3回に分割とされている
・低用量なら1~2回投与で差はない可能性がある
・1500mg/日までなら2~3回投与でも効果は同等の可能性がある
・メトホルミンの血中濃度と血糖低下効果は並行しない
・用量や併用する薬剤も勘案し,内服コンプライアンスにも配慮して投与回数を考える

(3)用法(食前か食後か)
・添付文書では,メトホルミンは食直前または食後に経口投与とされている
・血液中に入る前から十二指腸・上部消化管でインクレチンや神経系を介して作用を発揮することを考慮すると,食前投与もよいかもしれない

4 メトホルミンの使用時の注意点
・消化器症状は起こりうる。低用量から開始し,状態をみながら漸増していく
・重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者または透析患者は禁忌とされている
・メトホルミン1日最高投与量の目安は,eGFR 45以上60mL/min/1.73m2未満では1500mg,eGFR 30以上45mL/min/1.73m2未満では750mgとされている
・メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(日本糖尿病学会)がある
・乳酸アシドーシスについては,特に過度のアルコール摂取者と腎機能障害患者に注意
・近年メトホルミンの長期・高用量投与でビタミンB12欠乏の可能性も言われており,原因不明の巨赤芽球性貧血や末梢神経障害がある場合には留意

5 まとめ
・メトホルミンは作用機序が多彩で効果の広がりの可能性を非常に感じる薬剤
・実際の臨床現場での使用方法を具体的に考察した
・メトホルミンをよく理解して使いこなし,メトホルミンマニアとなっていただくことを期待する

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