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近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)について

No.5073 (2021年07月17日発行) P.47

川野 涼 (大阪医科薬科大学神経精神医学講師)

登録日: 2021-07-15

最終更新日: 2021-07-14

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 【精神症状の定量的な評価への応用など,意欲的に研究が進められている】

近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy:NIRS)は,近赤外光を用いて頭皮上から非侵襲的に脳機能をマッピングする多チャネルの光脳機能マッピング装置で,神経活動時の酸素化ヘモグロビン濃度の変化を計測することで一定の広がりを持った脳活動をとらえることに適し,精神疾患の診断・治療のための臨床検査として発展する可能性を持っている。

NIRSは2009年にわが国の厚生労働省により先進医療技術として認可され,特定の精神疾患に対して使用されるようになった。承認されたNIRSの役割は,抑うつ症状を呈する人々の中から,統合失調症,双極性障害,うつ病,および健常者を区別する補助的な検査であった。これは臨床医による主観的な評価によってのみ診断がなされていたこれまでの臨床精神医学の中で,大きな変化を示すものである。

NIRSは厚生労働省により承認された25を超える機関において臨床的に実践され,13年には医療保険の適用となった。さらに,NIRSによる前頭葉血流変化の測定を精神症状の定量的な評価に結びつける研究も行われている。大うつ病性障害を含む様々な精神疾患を対象に行った筆者らの調査でも,抑うつ症状の重症度とNIRSで評価される前頭葉の酸素化ヘモグロビン濃度の変化との間に負の相関を認めた。NIRSを用いた研究は現在も活発に行われており,今後も賦活課題の工夫や他の生理学的検査との組み合わせ等により,精神医学におけるNIRSの応用の可能性はさらに広がることが期待されている。

【解説】

川野 涼 大阪医科薬科大学神経精神医学講師

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