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去勢抵抗性前立腺癌の最新の治療法は?

No.5072 (2021年07月10日発行) P.49

高橋 悟 (日本大学医学部泌尿器科学系主任教授)

賀本敏行 (宮崎大学医学部泌尿器科教授)

登録日: 2021-07-08

最終更新日: 2021-07-06

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  • 前立腺癌の治療開始当初はほとんどの症例で内分泌療法が奏効しますが,やがて去勢抵抗性を獲得する症例が少なくありません。最近では多くの新規治療薬が開発されており,2021年にはゲノム診断に基づいた薬剤の使用が保険適用となりました。これら最新の去勢抵抗性前立腺癌の治療戦略をお教え下さい。
    宮崎大学・賀本敏行先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    高橋 悟 日本大学医学部泌尿器科学系主任教授


    【回答】

    【BRCA変異があった場合にポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬が使えるようになった】

    (1)新規治療薬が続々登場

    去勢抵抗性前立腺癌は「去勢(ホルモン)療法によって血液中の男性ホルモンの濃度が低い(50ng/dL未満)にもかかわらず,がんが進行あるいはPSAの値が上昇している状態」の前立腺癌と定義されます。初発時に進行し転移があるような前立腺癌でも,男性ホルモン依存性でホルモン療法が著効することは古くから知られていました。しかし,効果があっても必ず「去勢抵抗性」になり,この病態に対する効果が明らかな治療方法はありませんでした。

    そのような中,2008年にドセタキセル,2014年にはエンザルタミド,アビラテロン,カバジタキセル,2016年に塩化ラジウム,2019年にはアパルタミドが承認され,この10年における去勢抵抗性前立腺癌に対する治療の変遷には目を見張るものがあります。一方で,これらの新規治療薬の投与順に明確なものはなく,またその効果を予測できるマーカーもないため,「まずは投与してみて,その効果をみる」ことになります。最近では,去勢抵抗性になる前にこれらの新規治療薬を併用することが生存期間を延ばすことが明らかになり,どんな患者にも「とりあえずホルモン療法のみ」を行う時代は変わりつつあります。

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