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【識者の眼】「コロナクラスター抑制のための自己による頻回抗原検査利用への期待」岡田政久

No.5072 (2021年07月10日発行) P.63

岡田政久 (東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合専務理事)

登録日: 2021-06-16

最終更新日: 2021-06-16

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックの中、頻用されている遺伝子検査のPCR測定1)に比べ、ウイルス抗原測定検査はPCRより感度が劣るという理由で普及が遅れている。抗原検査法は、ウイルス核蛋白ヌクレオカプシド抗原(rN-Ag)に対するモノクローナル抗体を適用したイムノクロマトによる免疫学的検出法で、簡易・迅速測定でき、20種類以上の厚生労働省認可の診断用検査キットに加え、輸入品も含めて認可を得ていない研究試薬としての検査キットが多数存在する。

【検証目的】

東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合(Tokyo Biomarker Innovation Research Association:TOBIRA、とびら)はこれまで、クラスター抑制に用いるため、最適なコロナウイルス抗原測定系の評価・開発を行ってきた。今回、性能・価格・製造などの視点から、診断用および市販の検査試薬キット2)に関して、rN-Ag発現抗原による性能評価試験を実施し、推奨できるキットを選別した上で、クラスター対策に取り入れながら、その有用性を検証した。

【結果】

①診断用および市販の抗原測定キット代表例の評価:発現抗原を用いた試験では、検出感度に差異はあるが、1例を除き、文献値と実測値に大差なく、検出感度の評価が可能なことが示された(図1)。

②診断用抗原測定キットの性能評価:販売されている各社キットの添付文書に使用されている公表値2)を用いて、換算係数によって計算した検出感度を表示したところ、検出感度は各キットによって大きく異なることが明らかになった(図2)。

【考察】

コロナウイルスクラスター抑制に使用する場合、PCRの単回検査では初期の感染や無症状の患者の検出は不可能である。感度がPCRに劣るものの、迅速で簡便、低コスト、高感度の抗原検査キットを用い、自己による頻回検査を行うことで、陽性例を検出できる可能性が高くなる。さらに二次的にPCRと併用することにより、検査の簡便化や陽性例・偽陽性例の確定診断を行うことができる。このような「PCRと併用した自己で行う頻回抗原検査3)」は、クラスター対策には極めて効果的であると考えられる。例えば週2〜3回の定期的な検査や2〜3日間連日の検査などが該当する。TOBIRAでは評価を行った中でもっとも優れた性能の検査キット(参照)を選定し、既に数万キットのレベルで、介護施設・病院等での職員や患者家族、および企業での評価試験を行っており、今後のクラスター感染対策における抗原検査の有用性が期待される。

【文献】

1)Floriano I, et al:Rev Assoc Med Bras. 2020;66(7):880-8.

2)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報(令和3年6月3日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html]、及び各社キットの添付文書

3)Mina MJ, et al:Science. 2021;371(6525):126-7.

岡田政久(東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合専務理事)[抗原検査]

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