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慢性疾患ケアモデルを用いた日常診療の振り返り(2)─「地域住民のお節介」という貴重な資源を考察する[プライマリ・ケアの理論と実践(98)]

No.5060 (2021年04月17日発行) P.12

深瀬 龍 (大蔵村診療所)

近藤 猛 (名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター/総合診療科)

登録日: 2021-04-15

最終更新日: 2021-04-14

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SUMMARY
地域に根付く「住民同士のお節介」が認知症になった女性の独居生活を支えていた。これを地域独自のケアシステムとして考察する。

KEYWORD
慢性疾患ケアモデル
プライマリ・ケアにおける慢性疾患を持つ患者のケアに関する組織的なアプローチの方法。自己管理支援,決定支援,デリバリーシステムの設計,医療情報システム,ヘルスケアの構造化,コミュニティ資源の視点から分析する。

深瀬 龍(大蔵村診療所)

PROFILE
自治医科大学医学部卒,山形県立中央病院初期研修を終了後,県内の僻地医療に従事。山形県立中央病院緩和医療科を経て,大蔵村診療所に勤務中。

POLICY・座右の銘
努力した者がすべて報われるとは限らない。 しかし成功した者は皆すべからく努力している

1 ケース:認知症と住民のお節介

1 病歴

85歳女性。認知症・便秘症で当院に通院中(所長と筆者で外来を担当している)。長年一人暮らしで,娘は遠方にいる。

2 経過

X年,物忘れを近所の人から指摘されるようになった。

1年後,物忘れで内服が余るようになってきた。7月の診察時点で,日付感覚がはっきりしない様子がみられるようになり,認知症の進行を疑った。

2年後,抗認知症薬の内服を開始。3月のカンファレンスで金銭管理ができなくなっていること,火の元の管理に不安が出ていることが共有された。内服についてはヘルパーと娘が連絡して忘れないように管理することになった。筆者が赴任して初めてお会いした時は,時間感覚や短期記憶を取り繕う様子が伺われた。この頃からよく外を出歩くようになり,近所の保育園の保育士や集落の女性陣がこまめに声をかけたり顔を出してくれていた。

3年後,デイサービスやヘルパーの日時を忘れるようになった。デイサービスやヘルパーが訪室しても不在にしていることがほとんどであり,送迎の担当者が周辺の友人宅を回って本人を探してからサービスへ連れ出したり,自宅へ一緒に帰ったりしていた。また,鍵をなくしてしまうこともあり,豪雪地帯である当村の冬に外出して野外で凍えてしまうことが懸念されていた。
秋の様子では娘は問題ないと判断し,この冬は自宅独居のままで過ごすことになった。この年は雪が少なかったため外を出歩いても何とかなり,地域住民が雪かきをしたり自宅に招いて一緒にお茶をするなどで乗り切ることができた。

4年後,火の不始末・炊事の困難が進行し,地域住民に対しても物取られ妄想から攻撃的になってしまうようになった。地域住民も介入しづらくなってしまったことを契機に,改めて娘と今後の方針を相談し,夏から施設入所となった。

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