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【識者の眼】「感染リスクは『自分ごと』になっているのか?」和田耕治

No.5058 (2021年04月03日発行) P.56

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-03-22

最終更新日: 2021-03-22

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新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミックになってから1年が経ち、2度の緊急事態宣言を経験し、第4波をできるだけ抑えようとする中で人々は、新型コロナについてどう考えているのか。首都圏の1都3県を対象に3月5日から約3000人の市民(医療従事者以外)20〜69歳にインターネット調査を行った。

「あなたは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状があり、COVID-19のPCR検査を受けましたか」については、「はい」3.1%、「答えたくない」1.7%であった。雇用形態別では、正規従業員は「はい」が4.6%で、パート・アルバイト(2.6%)や派遣など(2.2%)より多かった。しかし、「答えたくない」が正規従業員で1.7%であった一方、派遣などは3.5%と倍であった。派遣などの方は言い出しにくい状況があるのであろうか。

「あなたの、連絡が取れる知り合いで、COVID-19に感染したという人はいますか」では「はい」8.9%、「答えたくない」1.1%である。逆に言うと約9割は、まだ、親しい間柄で感染した人はいないということである。もちろん、誰もが感染したことを伝えるとは限らない。

感染リスクについて、「仕事中に感染すると思いますか」との問いに対しては、「そう思う」5.9%、「ややそう思う」31.6%であった。6割は仕事中の感染リスクはあまり感じていないようである。しかし、感染リスクの高い「5つの場面」のうち、大人数や長時間に及ぶ飲食、マスクなしでの会話については、9割が感染リスクが高いことを認識していた。

以上の結果から、感染リスクが高い場面についての知識はかなり広がっている。しかし、緊急事態宣言の解除に向けた人の流れを見ると、感染した人の話を身近であまり聞かないこともあり、感染リスクを「自分ごと」にすることは難しい状況にあると筆者は考えている。

第3波での反省と、第4波に向けた備えをしないといけない時期であるが、市民への情報発信は難しい局面である。第3波の直前でもメディア報道において、米国の大統領選挙に市民は興味があるが、コロナについては「読んでもらえない」という時期があった。

今後も第3波と同じような状況を繰り返す可能性もありそうだが、感染リスクを自分ごとにできないことを責めることはできない。それ故、感染拡大してきたら、自治体からのタイムリーで早めの積極的な情報提供が重要である。第4波はできるだけ小さくするようにしたい。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス対策]

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