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非特異性多発性小腸潰瘍症 [私の治療]

No.5046 (2021年01月09日発行) P.38

久松理一 (杏林大学医学部消化器内科学教授)

登録日: 2021-01-08

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  • 1968年に岡部らによって初めて報告された1),若年時に発症する難治性慢性の小腸潰瘍症である。性差があり男女比は1:4で女性に多い。10~20歳代で発症することが多く,慢性の鉄欠乏性貧血と低アルブミン血症をきたす。進行例では消化管の狭窄をきたし,外科手術が必要となる。プロスタグランジン輸送蛋白をコードするSLCO2A1遺伝子の変異による,常染色体劣性遺伝病であることが判明した2)。日本における推定患者数は約400人。

    ▶診断のポイント

    慢性に経過する貧血,低アルブミン血症,小腸の特徴的な潰瘍所見(斜走する帯状の潰瘍)から疑う。若い頃の難治性胃潰瘍の手術歴,家族歴,家系内血族結婚の有無は参考になる。また,同じSLCO2A1遺伝子の変異を原因とする肥厚性皮膚骨膜症を合併することがあり,前額部や頭部の皮膚肥厚,ばち指,X線での長管骨骨膜肥厚の有無をチェックする。遺伝子診断としてはゲノム解析が必要だが,十二指腸や小腸生検粘膜を用いたSLCO2A1蛋白の免疫染色が診断に有効なことがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    確立された治療法はなく,副腎皮質ステロイドやTNFα阻害薬の有効性は明らかではない。対症療法が中心で,貧血の重症度に応じた鉄剤の投与や赤血球輸血,低アルブミンや電解質異常の補正が必要となる。経腸栄養療法は狭窄病変を有した患者にも有用で,アルブミン値の改善も期待できる。狭窄症状が強い場合や頻回の輸血でもコントロールできない貧血に対しては,外科的治療(腸管切除術)が考慮される。

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