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消化管アミロイドーシス[私の治療]

No.5044 (2020年12月26日発行) P.38

仲瀬裕志 (札幌医科大学医学部消化器内科学講座教授)

登録日: 2020-12-24

最終更新日: 2020-12-23

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  • アミロイドーシスとは,不溶性の重合蛋白の細線維が組織や臓器に沈着することによって引き起こされる疾患群の総称である。アミロイド線維はβシートという特殊染色性を持つ共通の構造を有している。アミロイドーシスは,沈着する蛋白の生化学的性状によって分類される。また,全身性か限局性か,後天性か先天性か,あるいはその臨床病態によって分類される。
    アミロイドの命名法を以下に記載する。AXと命名されており,Aはアミロイドを意味し,Xは線維蛋白の種類を表す。
    AL:免疫グロブリン軽鎖(L鎖)で構成されるアミロイドで,原発性全身性アミロイドーシスと呼ばれてきたものである。骨髄腫やリンパ腫に起因することがほとんどである。
    AF:甲状腺ホルモンやレチノール結合蛋白の輸送蛋白である,トランスチレチンの変異を起因としている。家族性(遺伝性)アミロイドーシス群を指す。
    AA:血清中の急性期反応物質であるアミロイドA蛋白で構成され,慢性炎症性疾患あるいは感染症を背景として起こる。AAアミロイドに起因する病態は,二次性アミロイドーシスと呼ばれてきたものである。
    2M:β2ミクログロブリンで構成されるアミロイドであり,罹患期間の長い腎不全の患者(β2ミクログロブリンの腎クリアランスの低下のため)の症例で認められる。

    ▶診断のポイント

    臨床的にアミロイドーシスを疑う場合とは,原因不明の腎症,心筋症,ニューロパチー,消化管障害,関節症や巨大舌を認めるなどが挙げられる。アミロイドーシスの診断と治療には,沈着物の病理診断と免疫組織化学的あるいは生化学的なアミロイド蛋白の同定が必要である。

    消化管アミロイドーシスで最も頻度が高いのは,AAアミロイドーシスである。一方,ALアミロイドーシスは肝臓以外の消化管での沈着が認められることが少ない。消化管アミロイドーシスの一般的な症状としては,体重減少,下痢,下血,腹痛,薬物療法に抵抗性の吸収不良,食道逆流症が挙げられる。アミロイド沈着は消化管のすべての部位に生じ,小腸で最も多く沈着することが報告されている。

    消化管アミロイドーシスの内視鏡所見は非常に多彩である。ALアミロイドーシスでは,アミロイドが粘膜下層や固有筋層に塊状となって沈着するため,粘膜隆起や腸管粘膜のひだ肥厚を引き起こす。一方,AAアミロイドーシスでは,アミロイドは粘膜固有層や粘膜下層に斑状あるいは血管周囲主体にびまん性に沈着し,腸粘膜がもろくなり,潰瘍形成を引き起こす。しかしながら,アミロイドーシスのタイプと内視鏡所見の間に必ずしも関係は認められないという報告もある。

    【内視鏡所見】

    ①胃では,粘膜下腫瘍様腫瘤,びらん,潰瘍形成,壁内血腫,および粘膜肥厚が特徴的である。
    ②小腸では,絨毛の大小不同や萎縮,鈍化,粘膜下腫瘍様隆起やKerckring皺襞の肥厚像を呈することが多い。
    ③大腸では,十二指腸や空腸と比較するとアミロイド沈着が少ない。その結果,小腸に典型的な所見があっても,大腸では異常を認めないことや軽微な非典型的所見にとどまることが多い。アミロイドーマ(アミロイド沈着による腫瘤形成)は,膵臓,胃,および直腸の内視鏡検査または超音波内視鏡検査で報告されている。

    【病理検査】

    アミロイドーシスを診断するためのゴールドスタンダードは,偏光下で緑色の複屈折を示すコンゴーレッド染色を伴う罹患臓器の組織生検である。その一方で,出血の危険性があるため,他の場所で組織を採取できる場合は,肝生検は推奨されない。内視鏡検査を必要とする患者では,直腸粘膜生検が妥当なスクリーニングの選択肢であり,感度は75~85%との報告がある。通常のコンゴーレッド染色では偽陰性や偽陽性も多く,現在はdirect fast scarlet 4BSによるコンゴーレッド染色(通称DFS染色またはダイロン染色)を行うことが推奨されている。アミロイド前駆物質の同定には,特異抗体による免疫組織化学を行う。AL陽性,AA陽性,ATTR陽性,Aβ2M陽性,すべて陰性,に分類される。全身123I標識血清アミロイドP(SAP)シンチグラフィーは,全身AAアミロイドーシスの診断に対して最大90%の感度があると報告されており,心臓以外の臓器への影響の程度を明らかにすることが可能である。

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