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進行したパーキンソン病患者の朝のウェアリング・オフを軽減する方法

No.5040 (2020年11月28日発行) P.45

大山彦光  (順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科 准教授)

服部信孝 (順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科 教授)

登録日: 2020-11-29

最終更新日: 2020-11-25

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YahrⅢ度のパーキンソン病患者です。
L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(以下,L-ドパ)100mgを1回1錠,1日4回,朝・昼・夕・22時服用,その他ロチゴチン(ニュープロ®パッチ),ドロキシドパ(ドプス®)投与併用しています。昼から夕にかけてはオンの状態で比較的良好な状態ですが,朝のウェアリング・オフが認められ,朝食摂取が進まないことに困っております。L-ドパを早朝にも追加,もしくは22時服用から早朝の服用に変更するなどしたほうがよろしいでしょうか。
その他,良い方法があればアドバイスよろしくお願いします。
(神奈川県 S)


【回答】

【薬剤の貼付,投与の時間を変更するだけで効果が出る場合もある】

パーキンソン病は,診断から約5年で,約50%にウェアリング・オフが生じます1)。「パーキンソン病診療ガイドライン」によれば,ウェアリング・オフに対して,まず,L-ドパ製剤の投与回数を4~5回に増やす,またはドパミンアゴニストの開始・増量・変更などが提唱されています2)。ただし,質問者の場合は,薬剤を増量する前に,もしロチゴチン(ニュープロ®パッチ)を朝に貼り替えているのであれば,夜の貼り替えに変更してみることで,やや朝のオフが改善する可能性があります。

また,もし,L-ドパを朝食後に内服しているのであれば,朝食前に変更,または,22時から早朝に変更するなど,タイミングを変えるだけで朝のオフが改善する可能性があります。その結果,夜間のオフが出るならば無理をせず,起床時にもL-ドパを追加で1錠内服するか,ニュープロ®パッチを少し増量するのがよいでしょう。また,モノアミン酸化酵素B(monoamineoxidase B:MAO-B)阻害薬の追加も選択肢となります。

上記の方法で,どうしても朝の立ち上がりが悪い場合には,アポモルフィンの皮下注を使用する方法もあります。
さらに,おそらく現時点では不要だと推測されますが,将来的に1日5回以上内服しても2時間以上のオフが生じる場合はデバイス補助療法(脳深部刺激療法,レボドパ/カルビドパ経腸注入療法)なども検討することができます。

【文献】

1) 服部信孝, 他, 訳:運動障害診療マニュアル:不随意運動のみかた. 医学書院, 2013.

2) 「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会, 編:パーキンソン病診療ガイドライン2018. 日本神経学会, 監修. 医学書院, 2018.

【回答者】

大山彦光 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科 准教授

服部信孝 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科 教授

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