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健康の社会的決定要因(SDH)と「社会的処方」─保健・医療・介護・福祉・地域社会が一体となりSDHに対応する[プライマリ・ケアの理論と実践(80)]

No.5037 (2020年11月07日発行) P.12

西岡大輔 (東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野博士課程)

近藤尚己 (東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野博士課程准教授)

登録日: 2020-11-05

最終更新日: 2020-11-04

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SUMMARY
経済的困窮や社会的孤立は,健康の社会的決定要因として知られている。そのような要因をもつ患者が受診したときに,医学的な処置や処方に加えて「社会的処方」を実践すると,患者のケアをより良いものにできる。

KEYWORD
「社会的処方」
健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,保健・医療・介護・福祉・地域社会の十分な連携のもと,その社会的課題を解決しうる非医療的な社会資源につなげること。また,ケアの機会を患者と地域組織とともにつくること。

西岡大輔1) 近藤尚己2) (1東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野博士課程 2同准教授)

PROFILE
2012年神戸大学医学部医学科卒。2017年に東京大学大学院医学系研究科健康教育・社会学分野博士課程に進学。家庭医療専門医・介護支援専門員・社会福祉士養成課程。日本プライマリ・ケア連合学会健康の社会的決定要因検討委員会委員。

POLICY・座右の銘
患者の不合理な言葉や決定の裏に健康の社会的決定要因あり

1 ケース

60代女性のAさん。糖尿病で通院しているが,活気がなくなり,服薬忘れが目立つようになった。その結果,血糖コントロールが悪くなった。夫は就労しておりAさんへの十分なケアは難しい。同居の娘は働くシングルマザーで,今以上の支援は期待できない。Aさんは要支援2だが,経済的にも厳しく介護保険サービスはなるべく使いたくない意向である。もともと社交的な性格ではないAさんにはご近所付き合いもほとんどない。

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