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【識者の眼】「電子カルテを標準化して採用義務づけを」相原忠彦

No.5036 (2020年10月31日発行) P.60

相原忠彦 (愛媛県医師会常任理事)

登録日: 2020-10-13

最終更新日: 2020-10-13

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菅内閣は目玉政策にデジタル庁創設を掲げた。政権の売りである「官僚組織の縦割り打破」の象徴となるそうだ。

昨今、医療機関、特に診療所には民間IT業者から「医療情報化支援基金」「中小企業・小規模事業者向けの補助金制度」を利用して電子カルテやオンライン診療を導入するようにと郵送やSNS等で多くの勧誘がある。そもそも医療のデジタル化とはなんであろうか?

医療機関では診療報酬明細書(レセプト)のデジタル化が最重要で、ほぼ達成されつつある。

次いでカルテの電子化である。歴史的には1970年頃からレセプトコンピュータ(レセコン)が登場し、それ以前の手書き請求の煩雑さから解放された。2002年には日本医師会がORCA(日医標準レセプトソフト)をオープンソースとして無料公開し、一挙にレセコンの価格が下がり、改定時の作業料金も大幅に下落した。1999年にはカルテの電子化を国が認め、大規模病院での電子カルテの普及に伴い、ORCA連動型電子カルテやクラウド型電子カルテも出て来た。2010年に医療クラウド解禁、2017年に従来のオンライン診療の規制緩和、2018年に情報通信機器を用いた診療に関するルール整備を通して、オンライン診療が可能な条件・範囲が明確になった。

また、電子カルテ、画像検査等の標準規格と、その相互運用の規約が策定され、全国の医療機関でそれを遵守することが決まれば、レセコン、電子カルテ、画像、オンライン診療等のシステム間で相互に医療情報を交換、共有できる統一プラットフォームの出現が可能となる。

政府は電子カルテに関わる標準規格の推進を検討しているが、責任を持って標準規格をオープンソースとし、その採用を義務づけることで、可能な限りのベンダー非依存とすべきである。国の標準規格への準拠が義務づけられれば、システムを情報連携するためのコストも減り、ベンダーも工数、人件費的に助かるはずだ。これこそが、政府の目指す官民一体による医療のデジタル化である。

既に議論は尽くされつつある、医療現場に対応する政府の即断が望まれる。

相原忠彦(愛媛県医師会常任理事)[医療のデジタル化]

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