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【識者の眼】「日食オタク第2報─3度の観測に成功」浅香正博

No.5035 (2020年10月24日発行) P.56

浅香正博 (北海道医療大学学長)

登録日: 2020-10-06

最終更新日: 2020-10-06

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2010年1月、本誌の炉辺閑話(No.4471)に、わが国で皆既日食の見られた美幌町(1963年)と屋久島(2009年)に出かけたが、2回とも観察に失敗したことを書かせていただいた。それから10年が経過したのでその後について報告したい。

2010年7月11日に東太平洋で皆既日食があることがわかり、チャーターしたジェット機から皆既日食を観察することを謳い文句にしたツアーに夫婦で参加することにした。7月11日、午前6時40分に飛行機はタヒチ国際空港を離陸した。30名の乗客は全員日食観測のため、左側の座席に座った。バランスを取るために右側の座席には重しの入った段ボールが多数置かれた。午前8時28分わが人生最大の感激がやってきた。三日月のように見えていた太陽が月に完全に隠れた。美しいダイヤモンドリングが見えたと思った瞬間、皆既日食が始まったのである。周りは暗くなり、黒い太陽の周りにコロナが光り輝いていた。夢中で写真を撮り続けていたが、5分後再びダイヤモンドリングが現れ、すばらしい皆既日食ショーは終わりを迎えた。

2012年11月14日、われわれ夫婦はオーストラリアのケアンズにいた。空には満天の星が散りばめられており、南十字星とも再会できた。ところが、午前3時過ぎ突然天気が変わりどしゃぶりになった。あわてて三脚にセットしたカメラにビニールをかぶせ牧場の小屋に避難した。もうだめかとあきらめかけたところ、幸いなことに雨は30分くらいであがり、6時ころ欠けた太陽が雲の上に顔を出した。6時38分ダイヤモンドリングが見え、その後皆既日食が始まった。二度目でも感激は変わらなかった。1分30秒と短かったが、カメラを三脚に固定できたので、前回よりも多くの写真を撮ることができた。

2017年8月21日、皆既日食の見られる米国ワイオミング州のキャスパーに飛んだ。今回のツアーにはオタクを通り越した日食観測のプロが何人も参加していた。そのおかげでこれまで自分では撮ることの出来なかったインターバル撮影など貴重な写真を何枚もいただいた。3度の観測で一生分を超える皆既日食の写真を得ることが出来た。それでも皆既日食への興味は尽きることがない。次回からは、写真を撮らず草わらにでも寝転がってゆっくりと世紀の天体ショーを楽しみたいと考えている。

私単独では2戦2敗、家内同伴で3戦3勝であるからわが家での家内の立場は強まるばかりである。

浅香正博(北海道医療大学学長)[人生最大の感激]

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