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胃ポリープ・胃腺腫[私の治療]

No.5032 (2020年10月03日発行) P.44

飯島克則 (秋田大学大学院医学系研究科消化器内科学分野教授)

登録日: 2020-10-06

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  • Ⅰ.胃ポリープ

    胃ポリープは,胃粘膜から発生する隆起した病変で,良性のものを指す。胃ポリープの大部分は無症状で,スクリーニング目的に行われる上部消化管内視鏡検査,胃X線検査で偶然発見される。ポリープのみでは無症状であるが,大きなポリープでは,表面からの出血による貧血症状,または幽門部嵌頓による狭窄症状がみられることがある。

    ▶診断のポイント

    代表的な胃ポリープとして過形成性ポリープ,胃底腺ポリープがあり,この2つで胃ポリープの大半を占める。両者はその性質が大きく異なり,診断の助けになる。過形成性ポリープは,ヘリコバクター・ピロリ感染陽性者に萎縮性胃炎を背景粘膜として発生する発赤調ポリープである。形態は,亜有茎性,有茎性など様々である。一方,胃底腺ポリープは,主にヘリコバクター・ピロリ陰性者の健常胃粘膜から発生する。正色調ポリープを呈し,多くは亜有茎性の形態をとる。いずれも多発傾向を示す。

    近年,日本人におけるヘリコバクター・ピロリ感染率の低下に伴い,過形成性ポリープの割合は低下し,胃底腺ポリープが増加している。典型的な胃ポリープは,内視鏡的所見(色調,背景胃粘膜)で診断可能であるが,大きいものは悪性病変の合併を考慮し,生検を行う。また,少しでも非典型的な場合は,他の稀な病理組織のポリープの可能性があり,一度は生検にて組織を確認する必要がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    過形成性ポリープでは,ピロリ菌感染が確認された場合は,除菌により(特に小さいものでは)消失することが多く,まずは除菌を試みる。過形成性ポリープは,数%の割合でがんの合併があるため,ポリープの表面をよく観察し,不整を認める場合は,そこから狙撃生検を行う必要がある。抗血栓薬内服中の高齢者では,過形成性ポリープからの慢性出血が貧血の原因となりうるので,ポリペクトミーが考慮される。

    胃底腺ポリープは,基本的には悪性化はないが,これと似た形態を呈する胃底腺型胃癌(gastric adenocarcinoma of fundic gland type)との鑑別が問題となる。胃底腺型胃癌はきわめて稀であるが,ポリープの表面不整を認める場合は狙撃生検を要する。わが国では,近年,ヘリコバクター・ピロリ非感染者の増加に伴い,胃底腺ポリープは頻繁にみられる所見となっており,上部消化管内視鏡受検者の10%程度以上には存在すると考えられる。胃底腺ポリープは診断が確定していれば,これらをすべて経過観察する必要はなく,大きさ(1cm以下),個数(数個まで)などを目安にして適宜行えばよい。胃底腺ポリープが100個以上など,びまん性にみられる場合,家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)などの消化管ポリポーシスによる胃病変の可能性があり,大腸内視鏡検査も行う必要がある。

    両ポリープともプロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期投与によって増大することが知られており,増大傾向を有する場合は,胃薬の処方について再考することが望ましい。

    ▶治療の実際

    ヘリコバクター・ピロリ感染陽性の過形成性ポリープでは,PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3剤による除菌治療を試みる。除菌が成功した場合,約70~80%の症例で,数カ月でポリープの退縮効果がみられ,最終的に消失する。

    過形成性ポリープからの生検でがん合併が認められれば,ポリペクトミー,または内視鏡的粘膜切除術などで内視鏡的切除を行い,ポリープ全体の組織評価を行い,必要な追加治療を検討する。

    胃底腺ポリープが増大傾向を示す場合は,多くがPPI服用者であり,可能ならH2受容体拮抗薬への変更を考慮する。ただし,PPI投与によって,ポリープは増大傾向を認めるものの,がん化に至った症例はまだない。

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