株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

縦隔腫瘍[私の治療]

No.5030 (2020年09月19日発行) P.38

吉村明修 (東京医科大学病院臨床腫瘍科教授)

登録日: 2020-09-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 縦隔内にある臓器のうち,心臓,大血管,気管,食道を除いた胸腺,リンパ節,神経,迷入原始胚細胞を母地として発生する腫瘍および先天性囊胞,胸腔内甲状腺腫を縦隔腫瘍と呼ぶ。縦隔腫瘍の頻度は胸腺腫瘍(45%)が多く,ついで先天性囊胞(15%),神経原性腫瘍(13%),胚細胞性腫瘍(8%),リンパ性腫瘍(5%)とされている。発生年齢は小児から高齢者まで幅広く,また,良性のものから悪性のものまで含まれる。

    ▶診断のポイント

    縦隔腫瘍の約半数は無症状で,胸部X線検査では腫瘍径が小さな段階での発見は困難である。腫瘍が進行すると,咳嗽,呼吸困難,血痰などの呼吸器症状,上大静脈症候群,嚥下障害,胸痛,嗄声,Horner症候群など,周囲臓器への圧迫・浸潤による症状が出現する。胸腺腫は,重症筋無力症,低γグロブリン血症,赤芽球癆など,種々の自己免疫疾患を合併することがある。

    診断のため,胸部X線検査,胸部造影CT,MRI,PET-CT検査を実施し,腫瘍の局在,内部の性状,周囲臓器への浸潤の有無などを評価する。縦隔腫瘍はその局在に特徴があり,診断のための重要な情報となる。腫瘍マーカーのAFP,β-hCGは胚細胞性腫瘍,抗アセチルコリンレセプター抗体(抗AChR抗体)(重症筋無力症)は胸腺腫瘍,可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)は悪性リンパ腫の補助診断となる。

    確定診断には組織診断が必須である。CTまたは超音波ガイド下経皮的針生検,内視鏡下超音波ガイド下針生検が行われる。正確な診断が得られない場合は,縦隔鏡・胸腔鏡・外科的生検を実施する。胸腺上皮性腫瘍の場合,本腫瘍が疑われ切除可能ならば,確定診断を得ることを省略して外科的切除を行う1)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫,胸腺癌)は,正岡分類に基づいて治療方針が決定される1)。Ⅰ~Ⅱ期,切除可能なⅢ期例に対しては外科的切除が行われる。不完全切除となったものについては,術後放射線治療が推奨される。また,胸腺癌については,完全切除されたⅡ~Ⅲ期例に対して,術後放射線治療が提案される。完全切除が困難なⅢ期,Ⅳ期例に対しては,化学療法を主体とした放射線療法,外科療法との集学的治療が行われる1)

    縦隔発生の性腺外胚細胞性腫瘍(セミノーマ,非セミノーマ)は,進行性精巣胚細胞性腫瘍と同様に,IGCCCの予後分類に従って化学療法を主体とした集学的治療が行われる2)

    悪性リンパ腫に対しては,化学療法を主体とした放射線療法との集学的治療が行われる。

    先天性囊胞および神経原性腫瘍は,ほとんどの場合良性腫瘍であることから,外科的切除が行われる。

    残り1,682文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 脳神経外科・一般外科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科・泌尿器科 各1名、消化器内科 2名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。長崎県島原半島の西部地区に位置し、二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    3階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。
    医療から介護までの医療設備等環境は整いましたので脳神経外科医、一般外科医、呼吸器内科医、循環器内科医、神経内科医、消化器内科医の先生に常勤医師として、地域に信頼される病院を一緒に築いていただける医師をお待ちしております。
    また、新たに透析治療ベッド数15床を開始致しました。将来は、ベッド数を25床に増床することを計画しています。泌尿器科(腎臓内科)医の先生を募集し、新病院の充実を図ってまいります。

    もっと見る

    関連物件情報

    page top