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副腎腫瘍[私の治療]

No.5029 (2020年09月12日発行) P.40

武田利和 (慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室講師)

大家基嗣 (慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室教授)

登録日: 2020-09-12

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  • 副腎腫瘍には,内分泌機能性腫瘍と非機能性腫瘍があり,それぞれに悪性腫瘍と良性腫瘍がある。内分泌機能性腫瘍や悪性腫瘍が疑われる場合は,外科的切除が第一選択となる。画像診断の発達と普及に伴い,臨床症状を有さない副腎偶発腫瘍として発見される割合が増加している。

    ▶診断のポイント

    【症状】
    〈内分泌機能性腫瘍〉

    産生するホルモンにより様々な症状を呈する。
    アルドステロン産生腫瘍(原発性アルドステロン症):高血圧,低カリウム血症
    コルチゾール産生腫瘍(クッシング症候群):満月様顔貌,野牛肩,中心性肥満,赤色皮膚線条,皮膚の菲薄化,皮下出血斑,近位筋の筋力低下
    カテコラミン産生腫瘍(褐色細胞腫):Hypertension,Head- ache,Hyperhidrosis,Hyperglycemia,Hyper-metabolism(高血圧,頭痛,発汗過多,高血糖,代謝亢進)の5H

    〈非機能性腫瘍〉

    基本的には無症状である。

    【内分泌学的検査】
    〈原発性アルドステロン症〉

    高血圧患者へのスクリーニングとして,血中アルドステロン・レニン比の測定。機能確認検査として,カプトプリル試験,生理食塩水負荷試験,フロセミド立位試験,経口食塩負荷試験

    〈クッシング症候群〉

    ACTH,コルチゾール日内変動測定,デキサメタゾン抑制試験

    〈褐色細胞腫〉

    血中・尿中カテコラミン分画測定,メタネフリン分画測定

    【検査所見】

    CTやMRIなどの画像診断は有用であるが,原発性アルドステロン症は微小腺腫が原因となる場合があるためthin slice CTを行う。褐色細胞腫に対するヨード造影剤の使用は,発作が誘発される可能性があるため,原則禁忌である。
    原発性アルドステロン症,クッシング症候群の片側性または両側性の鑑別のために行われる検査として131I-アドステロールシンチグラフィーが挙げられるが,特に原発性アルドステロン症は,より直接的な診断ができる副腎静脈サンプリングを行い,手術側の決定がなされることが多い。一方,褐色細胞腫に対する123I-MIBGシンチグラフィーは診断特異性が高く有用である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    内分泌機能性腫瘍や,非機能性腫瘍でも増大傾向を認める場合,3~4cmを超える大きさで悪性腫瘍が否定できない場合は,外科的切除が第一選択となる。標準術式は腹腔鏡下副腎摘除術であるが,腹腔鏡下手術は12cm以下の腫瘍を適応とすることが推奨されている。また,整容性に優れた術式として,マルチチャンネルシングルポートを臍または臍より患側から挿入して手術を行う単孔式腹腔鏡下副腎摘除術も選択可能であるが,難易度は上がる。巨大腫瘍や癒着や悪性が疑われる場合,単孔式腹腔鏡下手術は,特に経験の浅い術者では無理せずポートの追加や開腹手術を検討し,常に安全な手術を心がけるべきである。

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